ーーいえ、決して否定的に捉えてお尋ねしたのはありません(笑)。お忙しいなかで骨の折れる作品づくりができる書き手のモチベーションの在処を伺いたかったのでした。読者のほうは、提示された物語からインスピレーションを受けたり、考えが変わるきっかけがあったり、単純に楽しめたりすると思います。
本当にそうであれば嬉しいですよね。たとえば社会事象に関する白書が、いくら正しい的確な表現で書かれていても、どのぐらいうまく伝わるかというと難しい部分も大きい。そういう意味ではフィクションのほうがより伝わる部分がある気がするし。確かに、財政の話でも政策の話でも、小説仕立てのようなものができると、本当は分かりやすいんじゃないかとも思いますね。
ーー矢継ぎ早に3作出されましたが、次回作もすでに書き始めていらっしゃるのですか。
いえ、まだ構想をつらつら練っている段階で進んでいません。やはりこれまでと同様に、制度と現実のひずみみたいなものがフックにはなるでしょうが、サスペンスとかユーモア小説とか、全然違うタイプのものも書けるならやってみたいとも思っています。