──米国では今年、原発新設が実現する見通しだ。TIM事故から約40年経っているとはいえ、自国で原発事故を経験した米国民が原発新設を容認したのは、今の日本から見るとたいへんなことなのだが、米国民が容認できた理由は何か?

 米国では、世論調査でも原発を支持する声の方が以前から多い。米国で原発新設が進んでこなかったのは、世論ではなく、経済的理由だ。過去に原発新設に投資した後にコスト超過で損をした投資家たちがいて、それ以来、ウォール街では原発新設への投資はしたくないという状況が続いてきた。それが今般、状況が変化してきたということだ。

 日本では、原子力に関して政府と国民の間に健全な対話がもっとなされるべきだ。今のところ、それが不十分なのだと思う。「停止=安全、発電=危険」ではない。

高レベル放射性廃棄物は
米国では発電所敷地内貯蔵が定着

──2018年に期限切れとなる日米原子力協定の改定に向けて、今後、日米両国は議論を深めていくべきだと思うのだが、どのような点を主要論点にすべきとお考えか。使用済み核燃料の再処理や、高レベル放射性廃棄物の最終処分の分野で、世界の原子力平和利用の発展のために日米が協調していくべきことは何か。

 米国が原発輸出をするのは、相手国が核兵器に転用しないこと、つまり核不拡散に合意することが条件。だが、この核不拡散を条件にしていることが隘路になって、米国の原発輸出は進んでいない。米国は技術を持っているので、日本が米国と協調していくことで、日本の原発輸出は円滑に進むと思う。中露などに対抗する日米協調は重要だ。

 使用済み核燃料の再処理について、米国は核不拡散政策の下、使用済み核燃料の全量を、再処理はせず直接処分する。ただ、再処理技術の維持・向上のためには、日本での再処理は必要であるし、米国は日本の核不拡散を信頼している。

筆者とカスト博士(右)

 高レベル放射性廃棄物の最終処分については、米国ではもはや話題にならない。廃棄物は発電所敷地内に貯蔵することが最も安全で、しかも原子力発電の妨げにならないということで、その路線で定着しているからだ(筆者註:この件は、米国NRCも認めている)。環境団体も、それを容認している。ユッカマウンテン最終処分場の件はまだ揉めており、それは長期的に解決すれば良いのだろうが、いずれにせよ、発電所敷地内で貯蔵することで十分に安全であるので今後問題にはならない。