知る人ぞ知る企業が次なる半導体再編の台風の目となるかもしれない。セイコーホールディングス(HD)傘下の半導体事業子会社、セイコーインスツル(SII)が、事業を分割し日本政策投資銀行との合弁会社として新たに編成し直すと発表したのだ。7月中にも正式契約を結び、2015年度第3四半期中の会社設立を目指すという。
SIIはもともと時計関係の半導体をセイコー向けに開発・生産していた企業。売上高は14年度で961億円と半導体メーカーとしては中堅規模だが、消費電力が少ないアナログ半導体や、リチウムイオン電池の制御用半導体などの特殊な分野で強みを持ち、モバイル、ウエアラブル、車載などの市場で存在感を発揮している企業だ。
そのSIIが政投銀の出資を入れて、半導体事業を外に出すことにどんな意味があるのか。
SIIと政投銀は今回、合弁会社への政投銀の出資比率を60%とし、ゆくゆくは70%に高めることを決めている。また「同業他社との提携や外部のプロ経営陣の招聘なども視野に、今後成長に必要な大規模な設備投資やR&D(研究開発)を行うための体制をつくる」(政投銀)という。SIIでも「新会社で行う再編で、アナログ半導体では世界5位以内を目指す」としており、鼻息は荒い。