「この作業を、今日の時間内に完了することが無理だと思うんだね(Yes)」に対して、次のような質問を展開していく。

 「どうして、無理だと思うのか、自由に言ってみてくれる?」(拡大質問)
 「挙げてもらった理由を掘り下ると、一番大きな理由はどれ?」(限定質問)
 「AとBのどちらの理由が、より深刻な問題かな?」(選択質問)
 「私は○○の方法で、仕事の効率を上げた経験があるけれど、実施してみたいと思う?」(示唆質問)

 ここで、相手が肯定的な反応をしても、「じゃあやって」と命令はしない。さらに質問をするのだ。たとえば、「○○の方法で、効果が上がるかどうか、試してみることはしてみたいということだね」(まとめの質問)という具合に。

 つまり、同意の後に指示・命令するのではなく、同意の後に、質問により、相手に考えさせて、自ら納得する度合いを段階的に高めていく方法である。

 この方法が有用なのは、指示・命令に慣れていなかったり、ストレス耐性度が低かったりするゆとり世代に、指示・命令によるプレッシャーを一切与えないからだ。そのかわり、質問をすることで、段階的に理解を高めていく。

誘導話法は面倒ではあるが
優れたスキルで営業にも使える

「このような方法は、時間がかかるし、まどろっこしい。そうまでしないと動かないのであれば、作業をしてくれなくとも結構だ」という声も上がってくる。しかし今日、20代の世代を使い捨てできる企業などあるはずがない。シニア世代がゆとり世代に合わせてまで、ゆとり世代の能力を引き出すことが必要不可欠な時代と言わざるを得ないのだ。

 前述したように、ゆとり世代は、モチベーションを上げるまでに要する時間が、シニア世代よりも長い。しかし、一度上がったモチベーションは維持しやすいという特徴も持っている。質問による誘導話法を、いつまでも繰り返し行わなければならないということではない。何度か繰り返しているうちに、ゆとり世代は自問自答することを覚え、自走しはじめる。それまでの誘導をしていけばよいのだ。