「上場企業で女性役員1人登用」に意味はあるか上場企業で女性を役員に登用する企業は、続々と増加している

 あなたの会社には、女性役員がいるだろうか? 

「全上場企業で、役員に1人は女性の登用を」と安倍総理が呼びかけたのが、2013年。

 その後、2014年6月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014-未来への挑戦-」における「女性の更なる活躍促進」についての提言を踏まえ、企業内容等の開示に関する内閣府令の改正が行われた。有価証券報告書の冒頭に、各会社の役員の男女別人数及び女性比率の記載を義務付けるようになったのだ。2015年3月31日以後に終了する事業年度を最近事業年度とする有価証券届出書及び当該事業年度に係る有価証券報告書から適用である。

 有価証券報告書を提出する約4000社の企業で女性役員の数と役員に占める比率の開示を義務づけるということは、女性比率が企業成績、投資評価に直結するという意味で、とても大きな動きだ。情報開示することで、優秀な女性たちが働く場所として選ぶ時の資料にもなるし、投資家の評価を受けられるようになるだろう。

 2011年5月のデータによると、上場企業3608社の女性役員(執行役員は含まない)数は、505人(1.2%)。先日聴いた総理のスピーチの中には、800名という数字が出ているので、上場企業での女性役員は確実に増えているのであろう。しかし800名だとすると、対象の上場企業約4000社で各社1人と想定しても20%。複数の女性役員がいる企業もあることを考えると、全体の十数%ということになる。これからのポテンシャルが大きいことになる。

5年で約10倍の人が
関心を持ちはじめた「女性役員」

 女性役員というテーマは、男性経営者、女性エグゼクティブ、そして金融業界で注目されている。私が主催する「国際女性ビジネス会議」は今年で20年目になるが、女性役員をテーマにしたセッションをするようになって5年。関心が高まっていることを実感する。

 2011年7月開催の第16回開催の時に「日本企業を強くする?社外役員の新しい視点」というテーマでセッションを行ったのが最初で、その時は同時進行で複数のセッションが行われる中、このテーマを選んだ人が30-50名、2013年8月の第18回「日本企業を強くする?社外役員の新しい視点」には100名以上、2019年7月開催の第19回での「女性社長・女性取締役は何を変えられるか」のセッションは、200名以上の人が選んだ。そして今年、2015年7月26日開催予定の第20回国際女性ビジネス会議において、円卓会議テーマの一つ「Board Diversity: 女性役員が違いをつくる」を選んでいる人は、今の時点ですでに350名を超える。5年間で7?10倍もの人が関心を持つようになったテーマであることは、驚くべきことだ。

 多くの人が一番興味を持っているだろうことは、2つ。女性役員は、役にたっているのか。そして、女性役員はどこで探すのか。