女性活躍推進法案が成立すると、企業における女性の立場はどう変わる?

 今、国会で審議されている「女性の活躍推進法案」、ご存じだろうか。今国会で成立する見通しで、成立すれば大企業や国、地方自治体等に女性登用の数値目標を設定させ、その公表を義務付ける。

 この法案は、従業員301人以上の企業に採用時や管理職に占める女性の割合や、男女の勤続年数の差などの分析を求め、各企業・組織で、女性比率についての数値目標を最低1項目設定して、行動計画に明記、発表することを義務付ける。また企業だけでなく、国や自治体にも同じような義務を課す。

 ダイバーシティを推進するために、日本社会ではまず、一歩目が女性活躍の実現ということになる。男性ばかりの職場、男性ばかりの会議に、女性を入れることで、視野が広がることを期待するからである。

欧州各国が導入する
女性割合を義務付ける「クオータ制」

 では、どのように女性を増やすのかという議論になると、様々なことが話題になる。女性の意識を高める、スキルを上げる、ということも考えられるし、男性の働き方を変える、意識を変える、と言うことも大きい。トップのコミットメントも必要だし、それに…。これらを一つ一つ取り組み始めた企業が多いが、中には「やらねばならないたくさんの理由」を挙げたり、「できない理由」を言ったり、最後には「だから時間がかかる」というのが、現状なのである。

 そこに、常に議論の対象となるのが「クオータ制」。簡単に言うと、ある組織内での女性の割合を決めるという制度だ。賛否両論ある中で、国際的には導入している国が多い。国会議員等の女性の割合や、選挙において候補者の女性比率に対する制度を持っている国もあれば、同時に、企業における取締役等役員の女性比率を決めている国もある。