ダイヤモンド社刊 2100円(税込) |
「いかなる組織といえども、本来の機能の遂行という最大の責任を果たさないならば、他のいかなる責任も果たせない。倒産する企業は、望ましい雇用主ではない。地域社会にとって、よき隣人でもない」(『マネジメント[エッセンシャル版]』)
経営者とは、組織の召し使いである。したがって、経営者にとって最大の責任は自らの組織に対するものである。本業において社会に貢献することである。
大きな組織の長として公的な地位に就き、社会の問題についてリーダー的な役割を果たしたとしても、自らの企業や大学を不振に陥れたのでは、公人とはいえない。単なる無責任である。与えられた信任に応えていない。
ドラッカーは、組織がそれぞれに特有の使命を果たすことこそが、社会が関心を持ち、必要としていることだという。個々の組織がその特有の使命を果たす能力を損なうことは、社会の損失である。それぞれの使命を果たすことが、組織にとっての存在理由である。
しかも、現代社会においては、働く人間にとっても、組織は自らの強みをもってなんらかの貢献を行ない、自己実現するための、ほとんど唯一といってよい手段である。
「組織の基礎となる原理は、私的な悪徳は公共のためになるではない。個人の強みは公共のためになるである。これがマネジメントの正統性の根拠である。マネジメントの権限の基盤となるべき理念的原理である」(『マネジメント[エッセンシャル版]』)