6月中旬に7年ぶりの高値を付けた上海総合株価指数は、同下旬から顕著な下落傾向に転じ、7月上旬には3割以上に及ぶ暴落劇を演じた。中国株式市場のあまりにもドラスティックな調整を目の当たりにした投資家は、「中国バブル崩壊の始まりではないか」と危機感を露にした。足もとで市場はおおむね落ち着きを取り戻したものの、株価は反発と調整を繰り返し、不安定な地合いが続く。昨日発表された中国の4-6月期のGDP統計が、投資家心理にどんな影響を与えるかも未知数だ。現状は、本当に世間で言われているほど深刻なのか。投資家や金融関係者は、中国市場の行方をどう見据えるべきか。マネックス証券の広木隆・チーフ・ストラテジストが分析する。
予断を許さない中国株式市場
止血帯が外れたらどうなる?
6月後半から始まった中国株式市場の暴落は、足もとで一定の落ち着きを取り戻している。上海・深セン市場の暴落を食い止めるため、中国当局が矢継ぎ早に打ち出した株価対策について、正直、何がどれだけ効いたのかは定かではない。しかし、対策の「合わせ技」による一定の成果は出ていると思う。政府の株価対策を大別すれば3つの側面に分けられる。
「止血」
・証監会が当面の新規株式公開(IPO)社数の大幅削減
・証監会が上場企業のトップによる自社株売りを6か月間禁止すると発表
・金融先物取引所が19の空売り口座を1か月取引停止すると、中証500株先物に対するヘッジング以外の売りの担保金率を10%から20%に引き上げる措置を発表
「輸血」
・大手証券会社21社が総額1200億元(約2.4兆円)以上を株式投資
・中国人民銀行が中国証券金融を通じて市場の流動性を提供
・中央匯金や大手保険会社が株式市場でETFを持続的な購入
・銀監会が銀行の株式関連業務に関する4項目の緩和措置を発表
「心理」
・人民日報をはじめ、新華社や各証券新聞社などのメディアが度重なる「ファンダメン・タルズは不変」などの楽観的な論調を拡散
・公安が出動し違法な悪意の空売りを調査すると報道