上田 今年はある法律の制定から10年という記念すべき年。その法律とは、「NPO法」です。よく耳にするNPO法人は、この法律に基づいて設立されています。今回は、このNPOについて考えてみましょう。
竹中 NPOというのは、ノン・プロフィット・オーガニゼーション、つまり「非営利組織」という意味。利益目的の団体でも政府機関でもなく、ボランティアのように「公のためになること」を少人数でやるのがNPOという団体です。
巷には、「NPOをどう捉えたらよいのかわからない」という声も多いです。NPOがやっている仕事に関しては、「本来民間がやるべきか、それとも政府がやるべきか」ということが、折に触れてよく議論されます。しかし、そのような議論はあまり意味がないと思います。
サービスには、役所(官)が行なう公的なサービスと、市場(民)で分配される私的なサービスとがあります。民間の市場では不可能なサービスを行なうのが公的なサービス、その公的なサービスを官に替わって民でやるのがNPOと考えれば、わかり易いでしょう。
NPO法以来3万以上の団体が誕生
役割は重要だが台所事情は厳しい
上田 なるほど。それでは、そもそもNPOとは何か? これは営利を目的としない非営利組織、つまりボランティア団体のことです。日本では、1995年の阪神淡路大震災をきっかけにボランティア活動がさかんになり、その結果、98年に特定非営利活動促進法(NPO法)が施行されました。
このNPO法に基づき、主管官庁の許可を得て法人格を取得したNPO法人は、現在までに約3万3000にも上ります。特に2000年あたりから急増していますね。