原油の国際指標である欧州北海産のブレント原油は、7月に入って下落幅が拡大し、1バレル当たり60ドルを下回った。ギリシャ情勢の混迷や中国の株安を受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、リスク資産である原油も売られた。
もっとも、銅や鉄鉱石が年初来の安値を更新して下落したのに対して、ブレント原油は1月の安値(45.19ドル)に比べて、2割程度高い水準にとどまった。
この背景には、銅や鉄鉱石が最大消費国である中国の景気減速に伴う需要鈍化を懸念して下落幅が大きくなったのに対して、原油は最大消費国の米国の景気が底堅さを保っていることや、中国が石油備蓄を積み増していることなどがあるとみられる。
しかし、原油についても、通常言及される期近物ではなく、決済期日がもっと先の期先物の価格を見れば、様相が異なる。例えば、3年物の先物価格を見ると、7月に入ってからの下落局面で、年初来の安値を更新している。これは、先行きの原油価格が低迷を続けるという観測が強まっていることを意味する。