OPEC(石油輸出国機構)は6月5日に開催された定例総会において、事前予想の通り、原油生産量の目標を日量3000万バレルに据え置くことを決定した。総会前には、原油の過剰供給が続くとの見方から、原油相場は下落傾向で推移していた。同日には、米国の雇用統計が発表になり、雇用増加数が予想を上回ったことを受けて、ドル高が進行し、ドル建てで取引される原油の価格押し下げ要因となっていた。しかし、OPECが据え置き決定を行った後、原油相場は上昇した。「うわさで売って、事実で買い戻す」動きになった。

 その後、9日の原油相場は大幅に上昇した。この背景には、8日に米エネルギー情報局が発表した“Drilling Productivity Report”において、シェールオイルの減産傾向が示されたことがある。この統計は、米国にある七つのシェール層について、掘削リグ稼働数、原油生産量、天然ガス生産量などを毎月発表している。

 この統計によると、シェールオイルの生産量は、4月の日量569万バレルをピークに、5月は565万バレルにまで減少し、6月(558万バレル)と7月(549万バレル)も減産が続く見通しとなっている。

 生産量が多い三つの地区のうち、パーミアン地区では原油生産量の増加が続く見込みであるものの、バッケン地区とイーグル・フォード地区では減産が続く予想となっている。