欧州統合の歪みが露呈
根底に統治体制や国民性の違い

ギリシャ問題は大きな地政学的リスクを浮かび上がらせた

 グローバリゼーションの世界において現在進行形で生じている諸問題は、日本にとっても対岸の火事ではない。今日、新聞の一面を飾る国際問題はギリシャ問題である。ユーロ圏首脳会議において、ギリシャの財政改革の履行を条件に支援に向けて合意を見たが、この問題は、欧州の大きな地政学的リスクを浮かび上がらせた。

 ギリシャ問題の本質は、欧州統合の歪みである。欧州統合は多くの面で素晴らしい成果を生んできた。欧州大陸は二度の世界大戦の舞台となり、平和構築のためにドイツとフランスの和解が何より重要と考えた欧州の賢人達は、まず機能統合から歩を進めた。石炭鉄鋼共同体、原子力共同体は、障壁を取り除き域外に対して共通関税を張る単一市場に発展した。そして単一通貨ユーロの導入・欧州中央銀行の創設に繋がっていった。

 統合と同時に拡大も進め、今や28ヵ国が欧州連合を構成している。経済面だけではなく、外交安保政策や司法内務政策の協力でも進展は目覚ましい。一時は衰退する先進国の象徴でもあったヨーロッパは、欧州統合を進めることにより、政治経済的によみがえった。

 しかしこのような輝かしい成果を上げた欧州統合も、幾つかの深刻な課題を抱える。ギリシャ債務危機の直接の要因は放漫財政であった。GDPの170%超という債務の累積は、公務員人件費、年金支出などの増大が積もり積もったものである。

 ユーロの導入に際して金融政策の統合は図られたが、財政政策までは統合できなかった結果、単一通貨の下でも各国の財政事情は大きく異なるという結果を生んだ。しかし財政の規律に対する考え方の相違という問題の根底にあるのは多分、各国の統治体制や国民性の違いといったことなのだろう。単純化はできないが、堅実で物事を徹底的に追及するドイツ的規律に特徴的な欧州北部と、ラテン的な体質を持つ南部の差は大きい。