6.動きのある面接もいい

 弊社の最終面接では時々、ホワイトボードに「いきいきチャート」を描いてもらいます。横軸を時間軸、縦軸を自分の「いきいき度」とし、「上がり下がりをグラフ化してもらうのです。たとえば「大学受験で失敗して『いきいき度』は最低に、でも充実したサークル活動を送ることで徐々に『いきいき度』が上がった」といったグラフです。チャートの屈折点を聞いていくと、応募者の大学生活が見て取れますし、どういう時、どういう行動をとるかも推察できます。

 この手法の面白い点は、描き方にその人らしさが反映されるところです。几帳面に折れ線グラフを描く人、大雑把にフリーハンドで描く人、常にモチベーションが高い方が評価が上がる、と思うのがずっと最高値に張り付いたチャートを描く人、考え込んでなかなか描けない人、描いては消しを繰り返す人――多種多様です。質問への回答以上に、その人らしさを把握することができます。

7.質疑応答は何よりも大切

 多くの面接では、学生からの質問は最後に一応受け付けるだけ。まるで、おまけのように扱われています。しかし、実は質問はとても大切です。その応募者の興味の対象がわかるからです。

 面接官は質問に回答するだけでなく、逆質問をすることもできます。例えば、「〇〇という質問ですね。ちなみに、あなたはどう考えているのですか?」などです。学生が単に自分をアピールするため質問している場合はこの問に詰まります。また、本当に興味を持ったうえでの質問であれば、回答から応募者の価値観が伝わってきます。

 相手の質問から「どうしてそれが気になるのですか」などと掘り下げる質問もよいでしょう。ここから結構、深い展開になることも少なくありません。ただ、選考要素に入れられると嫌なので、面接の場では本当に聞きたいことを質問しにくいという応募者はいるでしょう。その場合、控室など、面接前に採用担当者とコミュニケーションできる場をつくることも効果的です。

8.選考の場で面接のレベルを高める

 多くの企業では面接シーズンの前に面接官教育を行っています。しかし、大切なのは実際の面接の場です。面接のレベルを高め、面接官による質のばらつきを減らすために、実際の選考の場でもいろいろな工夫ができます。

 例えば、面接官が複数の場合、さまざまな組み合わせの面接官ペアを意図的につくると効果的です。面接がうまいなぁと思う面接官と、駆け出しの面接官をベアにするのです。このあたりは採用担当者の腕の見せどころでしょう。また、合否判定会議などには、できるだけたくさんの面接官に出席してもらいます。

 一次面接官と最終面接官の双方が参加し、意見を総合して合否を決める手法もあります。最終面接官は気になったところをその場で一次面接官に確認するなどしてもよいでしょう。時には最終面接官が一次面接に入ってみると、一次面接官が評価をする際の気持ちや傾向が理解できます。