9.チーム意識で固める

「オワハラ」という新しい言葉ができました。長引く採用活動の中で、なかなか内定承諾をしない学生に対して、耐えきれずに採用担当者が就職活動を終わらせることを強要する行為です。気持ちはとてもよくわかるのですが、まったく意味のないことではないでしょうか。厳しくすれば厳しくするほど、相手は心を閉ざし、嘘をつき続けます。その結果、企業の側は、最終的に何人が入社するか読めなくなってしまいます。北風と太陽ではありませんが、強要するのではなく、じわりとその気にさせることが大切です。

 代表的な手法は、内定者同士のネットワークを早期につくることでしょう。そして、そこに採用担当者が適切に介入していくことです。上手に「よい仲間意識」をつくることができれば、そこに帰属心理が生まれます。これは新入社員研修以降でもプラスに作用しますので、内定時期に意識すべきことといえます。

10.アルバイトに巻き込もう

 内定を出した学生からよく聞かれる質問に「入社までに何をしておけばいいでしょうか」というものがあります。「じゃあ、もううちの会社に入っちゃう?」と言いたいところですが、そうも言えないので、自社でのアルバイトを薦める会社はよく見受けられます。

 内定者アルバイトのメリットは、リアリティ・ショックを段階的に体験できること、社内の状況を早期に理解できるので入社後の“立ち上がり”が早いことなどです。内定辞退防止にも役立ちます。ただし、大学生活の最後をどうデザインするかは、とても大切なテーマなので、強要は好ましくありません。

日々のモヤモヤが
翌年の企画ネタになる!

 どっぶりと採用の実務に浸っている超多忙のときこそ、じつは最もいい企画ネタが生まれるときでもあります。「こんな苦労はもう嫌だ」「もっとああやっておけばよかった」「あの会社やるな!負けた!」「この部分は仕込み不足だった」など、頭の中でいろいろな思い(=企画ネタ)がよぎっているのではないでしょうか。

 問題意識の強い採用担当者は、採用シーズンのピーク時が終わったときには、すでに次年度の企画の骨子をつくりあげているものです。目の前のことに真剣に対峙しながらも、その先にある翌年を意識することが大切です。