6月末で英バーバリー社とのライセンス契約が終了した三陽商会。後継ブランドのマッキントッシュ ロンドンを263の売り場で新たに展開するが、そもそも同ブランドはなぜ、これほど売り場を確保できたのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

銀座にある三陽商会直営のバーバリー店舗。バーバリーで掴んだ顧客を後継ブランドにつなげられるか
Photo by Mieko Arai

 バーバリーを長年愛用してきた首都圏在住の女性は5月末、百貨店の店頭で衝撃を受けた。バーバリーのパンツ2本を購入したところ、販売員から「6月末で売り場が終わります」と告げられたのだ。マッキントッシュ ロンドンなるブランドの売り場になる予定で「デザイン的に似ていますから」と言われたが、不安に駆られパンツをもう1本、ブラウスを1枚買い足した。

 百貨店でおなじみの三陽商会のバーバリーロンドンが徐々に姿を消している。6月末で45年続いた三陽商会と英バーバリー社のライセンス契約が終了したからだ。

 三陽商会は後継ブランドとして老舗コートメーカーである英マッキントッシュ リミテッドからライセンスを受け、7月14日からマッキントッシュ ロンドンの展開を新たに開始。原則、9月末までに百貨店を中心とする全国263の売り場を順次オープンさせる。

 実は三陽商会自身、新ブランドでこれほど売り場を確保できるとは想定していなかった。バーバリーの約360に対して200ほどに減ると見込んでいたが、ふたを開けてみると263。マッキントッシュだけでバーバリーの売り場数の7割強の維持に成功した。

 マッキントッシュに対する業界評価は決して甘くない。「団塊の世代など45歳以上とされるバーバリーの主要顧客に知名度が低い」(アパレル関係者)からだ。にもかかわらず、なぜ売り場を守れたのか。そこには三陽商会、百貨店双方の深謀遠慮がある。

 一部の百貨店は、ブランド切り替えに際して三陽商会に契約条件の変更を要求した。