2~3歳で、小学校1年生の算数力をつけるには?
脳科学の進歩のおかげで、小学校教育のやり方を変えなければならない問題が、いくつもありますが、『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』で紹介した頭でする「暗算問題」を考えてみましょう。
数の計算は脳の前頭前野がしており、計算の答えは「海馬」が働いて、頭頂葉に記憶されます。これは、いまから20年前に脳科学で明らかにされました。
これは大人の話で、子どもが計算すると、遅くて間違えるのですが、答えはワーキングメモリーとして前頭前野に保存されています。
子どもが計算を繰り返していると、だんだん間違わなくなり、速くできるようになってきます。そうなると、前頭前野でなく海馬を使って記憶しています。これは、この2~3年の脳科学研究で明らかになったことです。
0から9までの算用数字が読めて、言えるようになる2~3歳ころに、答えを覚えさせるのです。1ケタの数字の足し算と引き算の答えを覚えさせ、言わせると有効です。これをやれば、2~3ヵ月でできるようになるでしょう。
ということは、その子は小学1年生の算数の力を持つことになるのです。
この後は、掛け算、割り算をやり、2ケタの四則演算の答えを覚えたら、高校へ行くようになっても、算数・数学処理の脳領域がよく働き、算数・数学の能力が高いことが脳科学の論文に書かれています。
暗算は答えを覚えて繰り返すことですから、幼稚園で終了し、小学校では数で考えることを教えることにして、図形を数字で表現する平面幾何学(小4で習う算数)から始めてはいかがでしょうか。
最近は脳の話が氾濫しています。
マスメディアには脳の記事が多く出ていますが、最近の「小保方晴子事件」は大変教訓的な事件でした。新聞記者の書かれた記事を見て最初に私が感じたことは、学術論文がどのようにつくられるか、新聞記者はまったく知らないということでした。
マスメディアから脳の最新知識を得るのは、容易ではありません。