79歳にして初の単著『カヨ子ばあちゃん73の言葉』を刊行した「脳科学おばあちゃん」こと久保田カヨ子氏が、35歳「イクメン」読者の育児の悩みに答える4回連載の2回目。
今回は、赤ちゃんに対するお父さん、お母さんの関わりや、「卒乳」と「離乳食」についての悩みをぶつけてみた。対するカヨ子ばあちゃんのアドバイスは…?
(聞き手/35歳男性A:0歳7か月の子どもあり&妻は専業主婦、構成/阿蘭ヒサコ、撮影/堀内慎祐)

■まじめなお母さんほど陥るワナ

 カヨ子先生は、77歳にしてご自身で立ち上げた株式会社『脳研工房』で、実際に赤ちゃんとお母さんを対象にした育児教室を開かれていると聞きましたが…。

カヨ子 育児教室はやっていません。問題のある赤ちゃんを個別に見ているうちに、結果的に人数が増えただけです。相談事がある方には、まず当社で発行している『うまんま』の会員になってもらって、手紙を書いていただきます。
  それで、引っかかった(気になった)赤ちゃんを見るわけですが、中には本当に思い詰めたお母さんもいます。また、赤ちゃんとその親、そして母方父方両方のご両親といったように、赤ちゃん1人に6人の大人がついてきたこともありました。

 そうなんですか。

カヨ子 そういう親に育てられている赤ちゃんを見ると、抱き方が悪いせいでちょっと首が傾いていたり、妊娠中に腹帯をしっかりつけていなかったからか、足の形がちょっと悪かったりする子がいるわけです。
  まじめなお母さんほど思い入れは強いんだけど、どこに手をかけて、どこで手抜きをしたらいいのか、わからないんです。
  うちに連れて来られた赤ちゃんは、みんな最初はオドオドして泣きわめいてます。そりぁ切羽詰まった状態のお母さんに育てられてたら、そうなりますよ。
  そういう赤ちゃんとお母さんを集めて“オムツ体操”とか声がけの仕方とか、赤ちゃんへの接し方を教えてるとね、何回か通ってくるうちに明らかにお母さんの表情が和らいでくるんです。で、それに比例して赤ちゃんの情緒も安定してきます。
  
ほんのちょっとしたことなんですけどね。つまり、親として「これでええねん!」っていう確固たる自信のない人が多いんです。

 私の場合、前に一度、夜遅く帰宅したら、妻が赤ん坊を抱きながら一緒に泣いてたことがありました。夜泣きがひどい時期で、「子どもにオッパイをあげても、オムツを替えても泣きやまないので、途方にくれて、気づいたら自分も泣いてた」と…。