今年7月、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の世界文化遺産登録が決まったこともあり、世界遺産への興味関心がかつてなく高まっている。「世界遺産に行ってみたい」と思っても、「どこへ行ったらいいかわからない」「事前に見どころを調べる時間がない」という人も多いだろう。そこで今回は、この夏休みに足を伸ばしたい「日本各地の世界遺産」全19ヵ所の見どころをお伝えしよう。これさえ読めば、あなたは「世界遺産の達人」になれるはずだ。(取材・文/大矢幸世、編集協力/プレスラボ)
夏休みに行きたいのはどこ?
かつてない「世界遺産ブーム」到来
2015年7月5日、ドイツ・ボンで開催されたユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産委員会で「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の世界文化遺産登録が決まった。その審議の過程では、日韓の対立が表面化したこともあり、結果としていつも以上に大きな関心が集まったと言えるだろう。
同日、Googleストリートビューでは8県11 市にまたがる「明治日本の産業革命遺産」の構成資産28ヵ所を公開。「軍艦島」の立ち入り制限区域や一般公開されていない「松下村塾」の室内なども許可を得て撮影を行い、その臨場感ある画像に早速アクセスした人も多いのではないだろうか。
世界遺産に対する興味・関心は、かつてなく高まっている。旅行会社が企画する国内外の「世界遺産ツアー」はどれも盛況だ。この夏休みを利用して、「世界遺産を訪れてみたい」と思っている人も多いのではなかろうか。
とはいえ、限りある休日を効率的に使って世界遺産を回るにしても、「どこを選んで行ったらいいかわからない」と悩む人は、実際に多いと聞く。また、世界遺産はテーマパークとは違い、その多くは「行くだけで楽しめる」という場所ではない。そこには単なる建造物や自然があるのみで、何の予備知識もなしに訪れても、興味を持てないだろう。「仕事が忙しいから、事前に世界遺産のいわれや見どころを勉強する暇がない」と、世界遺産行きを断念する人もいるかもしれない。
そこで今回は、「世界遺産」とは何なのかという基礎知識から始まり、この夏休みに足を伸ばしたい「日本各地の世界遺産」全19件の見どころをお伝えしよう。これさえ読めば、あなたの夏休みは楽しくなること、間違いなしだ。
まず、世界遺産の定義や意義とは何なのか。そしてそれは、どのように決められるのか。世界遺産は1972年に成立、1975年に発効したユネスコ「世界遺産条約」によって「文化遺産」と「自然遺産」、及びその両方を満たす「複合遺産」に分類され、次のように定義されている。