>>(上)より続く
妻のよからぬ検索が丸裸!?
「リマーケティング広告」
「当時は気がつかなかったけれど、言われてみれば『変だなぁ』と」
淳さんはネット上の異変について、そうに証言してくれましたが、何があったのでしょうか?淳さんが妻のパソコンを開いてみると、インターネットの画面におかしな広告が現れたのです。
「一流ブランドの腕時計が10%オフ!今すぐ手に入れてください」
淳さんは普段、スマートフォンを時計代わりに使っており、腕時計をつけることはないそうです。それなのに腕時計の広告が表示されるのは明らかに不自然でした。
どうやら妻は、これにも気づいていなかったのです。妻がこれまで色々と検索してきた結果「何を買いたいのか」「何に興味があるのか」「どこに行きたいのか」などがネット上に保存されていることを。
何とも不気味で気持ちの悪い話ですが、妻が清廉潔白な淑女で一切「やましいこと」がなければ心配はいらないことでした。例えば、「夫のために」プレゼントを用意しようと、ネット上で腕時計の品定めをしたり、値段の相場や口コミの評価を調べたりしても後ろ指をさされることはないでしょう。しかし万が一、プレゼントの贈り先が夫ではなく、本当は「夫以外の彼氏のため」だとしたら…。
例えば、淳さんの妻がネット上で腕時計を選ぶにあたり、通販サイト、口コミサイト、価格比較サイトなどを訪問したとします。すると、誰がいつ、どのサイトを見たのか、などの足跡を「訪問履歴」といいますが、それがいつの間にか保存され、蓄積され、データベース化されているのです。
つまり、先日の訪問履歴をもとに「淳さんの妻にどの広告を表示すれば効果的なのか」を、広告主が意図的に選んで表示しているのです。このように閲覧者ごとにカスタマイズされたネット広告のことを「リマーケティング広告」と呼びますが、今回の場合、むしろカスタマイズしたせいで「妻が男性用の腕時計を探していること」が明らかになり、さらにそこから「夫以外の男にプレゼントしただろう」と推測することができたのです。
もちろん、サイトの訪問者は淳さんの妻1人ではなく、何千人、何万人にのぼるので、訪問履歴を分析すれば、「傾向と対策」を見出すことが可能です。このように集められた膨大な訪問履歴をもとに行うマーケティングのことは「行動ターゲティング」と呼ばれています。
このようにリマーケティング広告は、浮気の真偽を突き止めるのに役立つこともありますが、一方でそういった浮気の証拠を隠すことも可能です。
それでは具体的な証拠隠滅の方法を紹介しましょう。