自国の過ちを認めたドイツの英断
なぜ日本も同じようにできないのか

 こうした事態を重く見て、多くの有識者が声を上げています。その中の1つである、東京大学の三谷太一郎名誉教授、明治大学の大沼保昭特任教授を代表とする歴史学者、国際法学者、国際政治学者ら74人による声明に私も参加しています。

 声明文には、はっきりとこう書いてあります。

「歴史においてどの国も過ちを犯すものであり、日本もまたこの時期過ちを犯したことは潔く認めるべきであります。そうした潔さこそ、国際社会において日本が道義的に評価され、わたしたち日本国民がむしろ誇りとすべき態度であると考えます」

 私は20年前、ドイツのドレスデン大空襲50周年の追悼式典に米英の軍幹部が参加し、その席で当時のローマン・ヘルツォーク独大統領が格調高いスピーチで和解を宣言したことを知り、衝撃を受けました。

 内容は、ナチス国家におけるドイツ人の悪行を認め、謝罪した上で、「生命は生命で相殺できない。苦痛を苦痛で、死の恐怖を死の恐怖で、追放を追放で、戦闘を戦闘で、相殺することはできない」と述べ、敵も味方も一緒に死者のために祈り、平和と信頼に基づく共生の道を歩もうと呼びかけるものでした。

 なぜ日本は同じことができないのか。私はドレスデンの和解を知って以来、米大統領が広島で献花し、日本の首相が真珠湾で献花するという提案をしてきました。このような形で日米が真に和解すれば、国際的にも戦争のケジメをつけることができるのではないかと希望を抱いていました。

 しかし戦後70年目の夏、私の心を捉えるのは憂鬱です。空襲で焼け出されて着の身着のままで逃げてから70年。こういう情けない事態が続いているとは、想像もしませんでした。今さら、あの戦争は悪くなかった、侵略じゃなかったというのは国際的な認識に異を唱えること。安倍首相は過去の過ちを認め、村山談話を継承するべきです。この暑い夏の憂鬱が、杞憂に終わることを心から願います。