DPE(写真の現像・焼き付けサービス)の業界最大手、プラザクリエイトの新卒募集が就職難の時代に話題を集めそうだ。来春までに大卒、短大卒、第2新卒合計200人を予定。全社員数450人のじつに半分近い人員増強だ。

 DPEチェーンの店舗数はピーク時の3万店弱から実質的に7000~8000店にまで減少している。デジタルカメラの普及によって、大手・中堅の経営破綻や上場廃止が相次ぎ、いまや生き残っている大手チェーンはプラザクリエイトとキタムラの2社しかない。この厳しい時代、店舗数1200を抱える最大手とはいえ、プラザクリエイトが大量採用に踏み切れる環境にあるとはいえない。

 DPEチェーンの現場では、フィルムの現像・焼き付けは1997年ピーク時の15分の1以下に減っている。ここまで市場が縮小したら残存者利益すら見込めないため、DPEに代わる写真サービス開発が不可欠なのだ。

 欧米で市場が急速に伸びているフォトブック(本の形で写真をプリントするサービス)がその一つで、今後もデジタルカメラ、携帯電話の高機能化に伴う新サービス開発は欠かせない。「将来のデジタル技術を見込んだ新サービスの事業化にはメドが立っている」(大島康広社長)のだが、ネックが人だ。これまでの店頭パートやアルバイトでは、そうした新サービスに対応できない懸念がある。

 そこで今回の大量採用。「年1000人以上入れ替わるパート採用・教育コスト削減、および業務効率化による収益性改善で、人件費増は賄える」と同社は説明するが、市場激変の窮地を乗り切ることができるかどうか。今年、来年が正念場だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千野信浩)

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