では、USJが目指した「集客策」はお客にどれほど深く刺さっているのか。ウイークポイントはないのだろうか。USJファンの生の声を聞いてみよう。

 USJの常連である関東在住の30代男性は、USJの魅力を「いい意味での雑多感があり、性別・年代問わず楽しめる」と語る。東京ディズニーリゾート(TDL)と比較した場合、男性の目から見てTDLはどうしても「女性・子ども向け」というイメージが強いそうだ。確かにUSJには、男性好きのしそうなアメリカンコミックを原作とする映画や、直近では『バイオハザード』『進撃の巨人』などのアトラクションやショー、イベントが豊富だ。

 また、関東からUSJに遊びに行く場合はほとんどが宿泊を伴うが、近隣ホテルの宿泊費は「東京ディズニーランド周辺よりも相場が安い」(前述の男性)ため、ファミリー層にはメリットになるそうだ。最寄駅からは世界最大級の水族館「海遊館」へのフェリーが運航しており、子ども連れの場合は「1日目にUSJ、2日目に海遊館」といった流れで観光するパターンも多いという。たこ焼きなどの大阪グルメを楽しめるのも、魅力の1つになっている。

 別の常連客である20代女性は、USJの魅力を「スタッフのノリがよく、大阪らしい」という。中でも『ターミネーター2』のアトラクションを担当するスタッフの綾小路麗華氏は、客イジリとツッコミという大阪らしいキャラクターとトークで、テレビでも特集されるほどの人気ぶりだ。

TDLと違いファストパスは有料だが
ブランディングでリピーターが増加

 一方で、「TDLと比較して、ファストパス(正式名称:エクスプレス・パス)が高いのがネック」とこの女性は指摘する。

 ファストパスとは、アトラクションの待ち時間を短縮できるチケットのことで、使用するとテーマパーク内の専用通路に案内され、通常2~3時間待ちのアトラクションでも20~30分で体験することができる。TDLでは枚数制限こそあれ無料であるこのファストパスが、USJでは有料で販売されている。パスの種類により値段は変動するが、1アトラクションにつき、およそ1000円前後で待ち時間を短縮できる計算だ。

 前述の女性のように、このような課金のシステムを快く思わない来園者がいるものの、「お金で解決できるのであれば、その方がいい」という意見も今回の取材では耳にした。いずれにせよ、TDLよりも客単価が高額になるにもかかわらず、2パークを合わせた来場者が約3000万人のTDLの背中が十分に見えてきたUSJは、消費者目線のマーケティングによりブランド価値を向上させたと言えるだろう。お客はブランド価値を感じられるサービスに対して、ある程度のお金を払うことを厭わないもの。そうしたマーケティングの妙を心得た戦略をとっているようだ。

 ここまで分析してきた結果を踏まえ、「人の心を奪うテーマパーク」の法則とは何かを考えたい。