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2025年の倒産件数は1万件を超えそうだが、もっと深刻な数字がある。「廃業」件数が過去最多7万件を超えそうなのだ。一部の中小企業は「終活」を意識してエンディングノートを作成している。なぜ事業承継は進まないのか。EVシフトを引き金とした製造業の倒産・廃業も見られる中、解決の糸口はあるのか。(未来調達研究所 坂口孝則)
デスノートではなくエンディングノート
企業の「終活」→「廃業」が過去最多
製造業を中心としたコンサルタントの筆者が、大手企業の関係者から今年よく聞いた、共通の話がある。
「昔からの取引先がかしこまって『会えませんか』と言ってくると、ほとんどが『廃業する』という連絡。『こういう感じで畳みます』と、廃業計画書を見せてくる」
デスノートではなく、エンディングノートを用意しているらしい。企業にも「終活」が当たり前になったようだ。「倒産」する前に、「廃業」を選択する。「倒産」は厳密な法律用語ではないものの、負債の返済ができず法的処理による破産処理を指す場合が多い。一方、廃業は自らの意思で事業を畳むことだ。
2024年の企業倒産件数は、11年ぶりに1万件を超えた。25年も1万件を超えそうだという。2年連続の背景となるのが、物価高や円安による仕入れ価格の高騰、人手不足、コロナ関連融資の特例措置が終了した影響も大きいだろう。
一方で、筆者が問題視したいのは廃業件数だ。24年の休廃業・解散件数は6.9万件(帝国データバンク)と、前年に比べて約1万件も増えた。25年は1~9月時点ですでに約5万2300件に達しているので、年間では7万件を超える見込み。調査開始以来、最多記録を更新する勢いだという。
うまくやれば事業が継続できたかもしれないのに、倒産件数の7倍も、廃業している。トップが自ら終止符を打っている。廃業を決断した企業の、実に半数が直前の年度で黒字だったというから驚く。







