本特集のテーマは、「自分の強みや特性を知り、それを伸ばして“できる営業マン”になる」ことです。

 インターネットで簡単に商品情報が得られるようになった今日、「この人からなら安心して買える」という営業マンへの信頼の重要性が、ますます高まっています。お客との信頼関係や人間関係の構築法は、人さまざま。自分の特性や強みを生かした方法が有効です。

 2万人以上の営業マンに会っているコンサルタントの林丈司氏によれば、できる営業マンは大きく次の「5つの型」に分けられるそうです。

 気遣いや態度でお客とすぐに打ち解ける「親密化」型。仕事が速く、とにかく多くのお客と会う「行動量」型。情報収集力が高く、的確な企画を立てる「ソリューション提案」型。お客の面前で絶妙なプレゼンテーションができる「商談」型。マーケティングの観点から効果的なプロセスで営業する「戦略」型の5型です。

 どの型を目指すべきか。自分の特性を見極め、それに合った型を目指すことが、できる営業マンへの近道です。特集の中の診断テストで、「肉食系」「草食系」「雑食系」「偏食系」のいずれに当てはまるか、自分のタイプを判定してください。

 それぞれの何を伸ばして「優秀型」になるかを、合わせて解説しています。このテストと目指すべき方向性は、新人営業マンの育成法にも使えます。具体的な営業力強化法の指南役は、超豪華陣が担います。

 “営業のカリスマ”と言われる神田昌典さんは、営業マンの中級者以上向けに、「肉食系営業と草食系営業の使い分けで成果を出そう」と提言します。商品特性や、お客の購入意思の見込み度によって、営業スタイルを使い分けるのです。そして、「ジャパネットたかた化」「全脳思考の商談」という効果的な営業方法について述べています。

 勝間和代さんは、「時代の変化に合わせて、営業プロセスを改善すべきだ」と訴えます。インターネットやメール、電話、訪問など営業手段を、お客によって使い分け、営業マンの時間当たり付加価値を高める方法を示します。生産性を高めるために、「営業日報」を、自分のために活用することを勧めています。

 最強の営業“夫婦対談”も実現しています。レバレッジシリーズなどの著書が累積売り上げ150万部超のベストセラー・コンサルタント、本田直之さんと、元マイクロソフト営業部長の田島弓子さん(『ワークライフ・アンバランス』著者)の対談です。

 今年4月から入社が始まる“ゆとり世代”の特徴分析やその育成法のほか、女性ならではの有効な営業スタイル、そして自分自身を売り込むための方法など、さまざまな形の営業について、お2人に論じて頂いています。

 さらに、マイクロソフト元社長の成毛眞さん(現インスパイア・ファウンダー)には、ユニークな営業についてうかがっています。曰く「伝説を作れ!」と。そのやり方は本誌をご覧ください。

 “伝説の繊維マン”と呼ばれる伊藤忠商事の新社長、岡藤正広さんには、ご自身がイタリアの高級ブランド、アルマーニの販売権を獲得したときの話を元に、「いかにお客の真意をつかむか」について伝授して頂きました。

 今、大ベストセラーになっている『誰とでも15分以上 会話がとぎれない話し方66のルール』の著者である野口敏氏には、本誌のために特別に「営業の話し方22のルール」を公開していただきました。

 京セラのアメーバ経営を生かしたチーム営業や、住友生命、ルミネ、千葉トヨペットなど成功した営業マン6人、新人営業マンの残酷物語(「自分の契約を先輩に謙譲しなければならない」「お客への値引きを自腹で埋める」など驚愕の話など)など、現場取材も充実しています。

 営業力強化の一助として、どうぞ本誌をご活用ください。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 大坪亮)