グーグルの中国撤退は、アメリカや日本サイドの視点から報道されて来た。実際その裏ではどのような動きがあったのか。ビジネスサイドでは、中国ネット企業がしたたかに動いていた。(北京在住ジャーナリスト 陳言)

グーグルの中国撤退ニュースで百度の株価は急上昇
Photo:ロイター/アフロ

 中国から撤退したグーグル(Google)は、今もときどき香港から中国政府への不満をもらす。

 3月30日に一時検索がうまく出来なくなった原因は、「中国政府による封じ込めである」と厳しく批判したが、その声がまだ人々の耳元で響いているのに、「ネットで情報を流すときの技術要因で、トラブっただけだった」とすぐ後に説明した。しかし、今回の問題は、グーグル検索が香港に移設されていた後だったので、グーグルの中国政府への厳しい批判は、あまり大陸では注目されなかった。

 グーグルは、少しずつ大陸のインターネット・ユーザーの目から離れていく。1月12日に突然中国から撤退することをほのめかし、3月23日に正式に検索サーバーを香港に移設するまでの2ヵ月あまりの期間に、日本メディアは、グーグルを中心にして数多くの報道をしてきた。しかし、その間にグーグル内部では何の変化があったか、検索のライバル企業はどんな動きをしたのか、それらについてはあまり触れられていない。

 驚愕、残念、逃亡、争奪、忘却……。これらが、短い2ヵ月あまりの間に、グーグル内外で引き起こされた現象であろう。 グーグルの中では社員の逃亡、外には市場の争奪などが繰り広げられている。グーグルは、Gmail、googlemapなどを中国に残しながら、中国インターネットの中心から少しずつ消えている。グーグルがいなくなったからといって、中国のインターネットは、成長がすぐ止まることはなく、今もユーザーを増やしており、その数はアメリカ総人口を遥かに超えている。