しかし、低所得者の生活に配慮するなら、低所得者に対して減税を行うなり、給付金を支給するなりの方がいい。

 低所得者にとって、生鮮食品や新聞ばかりが「必需品」ではあるまい。子どもの塾代や習い事の費用、あるいはスポーツや旅行などにお金を使いたい家もあるだろう。支出の優先順位は家計により異なるのであり、特定の品目だけを安くするというのは、生活に対する政府の過剰かつ余計な干渉だ。

 また、経済のロジックとしては、家計が自分にとって合理的な支出を判断できることを前提とする限り、特定品目の価格を安くしてもらうよりも、お金をもらって予算制約自体を拡大してもらう方が、同じ金額なら、より効用が高い。

 また、仮にマイナンバーカード方式を使うとしても、富裕家計にも1人4000程度とされる還付金が回るわけで、再分配対策としては、シンプルな減税・給付金に劣る。

 軽減税率自体をやめて、例えば、税率アップでの増加した税収の範囲で、低所得者向けの給付金を配るといった方法の方が「明らかにベター」だろう。

 あるいは、大規模にやるなら、消費者に対する減税・給付金は、目下、金融緩和政策に対する最も効果的なサポートになるだろう(2014年の消費税率アップがなければ、と想像してもらえば、効果のほどが予想できよう)。

そもそも「10%」を延期すべき
もめている目下の情勢を利用すればよい

 デフレの脱却を大きな目標とする現在の経済政策にあって、2017年4月の消費税率アップは、明らかに政策目標に逆行する。

 中国経済が短期間に好転するとは思えず、米国が金融引き締めの過程にあると予想される再来年4月に消費税率を上げるのは高い確率で不適切だろう。

「幸い財務省がミスをしてくれた」とまで言うと、関係者には気の毒だが、軽減税率の適用方法でもめている目下の情勢を利用して、「税率10%時」に軽減税率を導入すべく、増税時期を後送りしてはどうだろうか。

 官邸に対して「アベノミクスの失敗を認めたことになる」などと小賢しく囁く輩がいるかもしれないが、国民は税率引き上げ先送りを支持するはずであり、政治的には、いくらでも実現方法があるだろう。