9月FOMCはゼロ金利政策の維持を決定
メインシナリオは12月に利上げ
9月16・17日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、事実上のゼロ金利政策を維持し、保有する資産規模を維持することを決定した。
決定に際して、リッチモンド連銀のラッカー総裁は政策金利を0.25%ポイント引き上げるべきとして唯一、反対票を投じており、6会合ぶりに全会一致での決定とならなかった。今回のFOMCで利上げを開始するか否かについては市場でも大きく見方が分かれていたため、反対票を投じたのが1名に留まったというのはやや意外な結果であったと言える。堅調な内需を背景に利上げを議論したとされたが、中間派の地区連銀総裁らも様子見の必要性に同意したことになる。
次のFOMC会合は10月27・28日で、イエレン議長の記者会見等は予定されていない。利上げの可能性は残されているものの、大和総研では12月会合での利上げ開始を見込んでいる。
海外経済減速と金融市場の混乱が見送りの理由
米国経済は利上げできる状態だった
今回のFOMC声明文における米国経済の現状認識は「緩やかに拡大している」とされ、7月の前回会合から据え置かれた。
ただし、個別項目への評価を見ると、前回まで「軟調である」とされていた設備投資が「緩やかに増加している」と上方修正されたほか、住宅投資についても「一層改善している」とされ、前回会合からさらに改善が進んだことが示された。また、個人消費、労働市場については前回会合から表現は変更されず改善傾向が続いているとされ、会見でも繰り返し言及されたように、内需の力強い回復により景気拡大が続いているとの認識が示された。
労働市場の緩み(スラック)もわずかであるとされ、イエレン議長が労働市場の改善について繰り返し述べ、利上げを議論していたことは、米国国内の経済状況に限れば、ほぼ利上げできる状態になったと認識しているとみられる。
他方、外需に関しては引き続き「軟調である」との認識が示されたことに加えて、足下での海外経済および金融市場の混乱が、経済活動やインフレに対する下押し圧力になる可能性があるとの言及が声明文に追加された。このところの海外経済の減速や金融市場の混乱が今回利上げを見送る一因となったことが明示されたと言える。