昼休みにいったん帰宅してもOK!
ママに優しい準社員制度を掲げた矢野調剤薬局

 川崎市を中心に8店舗を展開する矢野調剤薬局は、ドラッグストアチェーンとは異なり、病院の処方箋に応じて薬を調剤する薬局だ。同社の求人情報で目を引くのが、「昼休みを長め(12時半~15時など)にし、いったん帰宅して昼食をとり、洗濯物を取り込んで、リフレッシュしてから午後の勤務に戻ってくる従業員もいます」といった文言だ。同社は主婦に優しい勤務形態を掲げており、週30時間勤務でもフルタイムと同条件の準社員制度を設けている。

フルタイムと同条件の「準社員制度」を設けた矢野調剤薬局。年収130万円の壁を超えさせるのだから、正社員同等に報いる制度とした

 メディカル・ステーションサイド稲田堤店で働くIさんは、この準社員制度に惹かれて同社に応募したひとり。以前に正社員として勤めていた薬局では朝8時に家を出て20時過ぎに帰宅する毎日で、家事との両立が大変だった。それが今では木・金・日の週休3日で、昼休みもだいたい13時~14時半にとっていったん帰宅でき、ずいぶんゆとりが生まれたという。

「薬剤師は超売り手市場。紹介会社経由で人を探そうにも、応募者を見つけることすら難しいほどなのです」と、同社の矢野大太社長は語る。現在の準社員制度の前身ができたのは1994年頃。人手不足の穴を埋めるべく、当時全員がパートだった薬剤師に勤務時間を増やしてもらいたいと考えた先代社長が、年収130万の壁を越えさせるなら、それ以上のメリットを従業員に与えてやらねばと、社会保障をはじめとして正社員同等に報いることにしたという。

 矢野調剤薬局の「準社員」は、日本の短時間正社員制度の典型例だ。優秀で貴重な人材を引き留め、職場のモチベーションを向上させるために会社が身を削ってでも従業員を優遇する。「主婦の生活スタイルを優先しているため、夕方以降の人員配置が悩みの種で、午後から閉店まで働ける人が喉から手が出るほど欲しい状態です」と矢野社長は語っていたが、じつにあっぱれな企業姿勢である。