はい。国もリフォーム市場の拡大を目指して、さまざまな施策を打ち出していますが、この20年ぐらいの住宅リフォームの市場規模は、年間6~7兆円という水準のままです。業界共通の認識として、「伸ばすべきはリフォーム市場」だったはずなのですが、実際には思うように伸びていません。

 他の産業に目を転じてみれば、例えばエコ・カーの販売台数や、スマートフォンの契約者数などのように右肩上がりで市場が急拡大しているわけではありません。住宅設備業界のリフォーム市場は、伸びているとは言えないのです。

 僕の見方では、「現在のリフォームはしょせん修繕の域を出ていない」ということになります。一例を挙げると、古くなって壊れたトイレを最新型のトイレに取り替えるということは、リフォームと言えばリフォームですが、それでは修繕でしかありません。もっと、伸ばすための創意工夫ができるのではないか。

 例えば、トイレを単体で捉えるのではなく、トイレを含む水回り空間、さらに住まい全体に拡げるなど“空間リフォーム”の領域で、施主に対して魅力的な提案や実利的なメリットが提供できれば、話は変わってきます。現在のようにどこか中途半端な状態を続けていれば、「リフォームといっても大したことはないな」と消費者からそっぽを向かれて、市場そのものが縮小に向かいます。

産業や組織に見られる
「2・6・2」の法則

──K-engineは、手作業によるアナログの見積もりが当たり前で、デジタル化とは無縁だった新築の木造建築の世界に、IT(情報・通信技術)のノウハウを導入して活性化を目指しているそうですが、木造住宅の60%以上を手掛ける中小・中堅の工務店に対して、どのようなサービスを提供しているのですか。

 端的に言えば、これまで存在しなかった“まったく新しいプラットフォーム”です。プラットフォームとは、関係する全員が乗ることのできる共通の基盤のようなものだと考えてください。何でも放り込める受け皿のようなものです。将来的には、住宅設備業界に止まらず、広く建築業界全体を変革するエンジンになりたいという思いを込めて、社名の頭文字にはKと付けています。

 順を追って説明しますと、大きく「新築」と「リフォーム」に分けられます。

K-engineベーシック・サービスは、2014年9月の本格開始時点から建築業界全体で使われるインフラを目指している。喜久川社長が「米グーグル的なプラットフォーム」と語るように、LIXIL製品ばかりでなく、競合他社の製品もリストアップされる。自由に組み合わせられ、5分ほどで見積もりが出せる
イメージ写真提供:K-engine
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 まず、新築が対象のK-engineベーシック・サービスは、自前で数千万円単位のIT投資をする余裕がない中小・中堅の建設会社を対象に、年額7万2000円から(月額6000円から)の負担でプラットフォームが利用できるサービスです。

 事務所にインターネットに接続できるパソコンがあれば、クラウド上にあるデータベースとやり取りすることを通じて、事前登録してある500万件以上の建築材料の価格情報を組み合わせながら、わずか5分で見積もりが出せます。