当然、僕たちは革新の20%に属しているはずです。現在も改善・改良を続けて進化しているK-engineのサービスには自信を持っていますが、このプラットフォーム・サービスの利便性が浸透するまでには、もう少し時間がかかるかもしれません。とはいえ、そもそもデジタル化に対して苦手意識があるかもしれない工務店の関係者にとって、ストンと胸に落ちるような説明ができていないことが浸透していない主原因になっているとしたら、それは僕たちがまだまだ甘い、工夫が足りないということになります(苦笑)。

動機善なりや、
私心なかりしか

──今年の6月から、米インターネット企業のアマゾンが、日本の大和ハウスグループや積水ハウス、ダスキンと手を組んで、リフォーム市場に殴り込みをかけてきました。外国企業の新規参入では初めてのケースとなりますが、同じITに軸足を置くベンチャーとして、この動きをどのように見ていますか。

 過去何十年間も無風状態が続いてきた国内の住宅設備業界にとっては、“黒船”の来襲です。黒船と言うと、ネガティブな印象がつきまといますが、僕はそう考えていません。反対に、リフォーム市場にとっては、これまで以上に門戸が広がるという意味で、ポジティブ・インパクトになると受け止めています。

 米アマゾンは、最初から「いくらかかるのか?」「誰に頼めばよいのか?」「何ができるのか?」という問題をすべてクリアにしています。例えば、トイレを新品に交換するだけなら、消費者の不安材料を取り除いたネット通販で手軽に購入する方が楽でしょう。そのような流れは、書籍やCD、家電などで起きた変化と同じです。住宅設備業界では、まだピンと来ていない人も多いですが、アマゾンのリフォームは2~3年後に大きな存在に化けているはずです。

 彼らが狙うのは、現在のリフォームの中心である“設備機器の部品交換リフォーム”です。矢野経済研究所の調べによると、年間で約700万件あるリフォーム工事の主体は設備機器の修繕・維持ですので、数十万円単位の市場はアマゾンにかなり奪われてしまう可能性が高い。その一方で、年間で約25万件ある増・改築を含む数百万円単位の空間リフォームならば、とても彼らの手には負えませんし、そこまで手掛けるつもりもないでしょう。要するに、ネットで頼めるリフォームは限定的なのですが、だからこそ既存のリフォーム会社はこれまで以上に自らのサービスに磨きをかけて付加価値を高めていく必然性を突き付けられているのです。外圧の中で、何もしなければ、やられてしまいます。

──ところで、喜久川社長は、かつて京セラと第二電電(現KDDI)と2つの連結売上高1兆円規模の大企業を創業した稲盛和夫さんの薫陶を受けた経営者の一人です。その後、稲盛さんは、請われてJALの経営再建も成功させた手腕でも知られています。間近で見た稲盛さんは、どのような方ですか。

 薫陶を受けたというより、ご指導を受けたという方が実態に近いです。身長が180センチ以上の大男だということばかりでなく、幾多の厳しい経験で培ってこられた内面の強靭さがあるというか、非常に強いオーラが出ています。