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クラウドという武器を得て
世界市場に再挑戦するサイボウズ

【特集・クラウドと、どう向き合うか(10)】

松岡 功 [ITジャーナリスト]
【第101回】 2015年10月2日
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チームワークのための
プラットフォーム

 なかでもユニークなのがkintoneだ。cybozu.comとほぼ同時に提供されて以来、契約社数が2015年8月末時点で3000社を超えたというこのサービスは、Excelからの乗り換えをはじめ、ワークフロー基盤や営業支援システム(SFA)、さらには統合基幹業務ソフト(ERP)など基幹系のフロントシステムに至るまで幅広い用途に利用されており、国産PaaSとして今もっとも注目されているクラウドサービスである。

 では、サイボウズが提供するクラウドサービスの最大の特徴は何か。それは、チームワークを支援するグループウェアに特化していることだ。したがって、GaroonやサイボウズOfficeは従来のパッケージと同様、スケジュール共有や会議室などを押さえる設備予約、掲示板やファイル共有、ワークフローといった機能を備えている。これにより、電子メールや電話、FAXなどで行っていた業務をグループウェアに集約することで業務効率を改善できるといったメリットを、クラウドサービスでも実現している。

 さらに、kintoneも「チームワークを支援するグループウェア」に基づくコンセプトがある。それは、kintoneは単なるPaaSではなく「チームワーク・プラットフォーム」であるという考え方だ。この点について、かつて青野氏から聞いた話が非常に印象深かったので紹介しておこう。

 「そもそも業務アプリケーションは何のために構築するのか。例えば、契約書管理の場合、単に契約書を作成してそのデータベースを構築・管理するだけでなく、その過程で必要となるさまざまなワークフローやコミュニケーションの機能も装備すべきだというのが、私たちの考えだ。

 どんな業務にもチームワークが求められる。そこで私たちはKintone上で、データベース、ワークフロー、コミュニケーションといったチームワークに必要な3つの機能を用意し、これをチームワーク・プラットフォームと呼ぶことにした。これまでこの3つの機能は、個別のソフトで提供されてきた。Kintoneはこれらをセットにした新しいジャンルの基盤だ。例えれば、電話や携帯情報端末、カメラなどの機能をセットにしたスマートフォンと同じ。それくらいのイノベーションだと自負している」

 サイボウズが、kintoneにいかに注力しているかがひしひしと伝わってくるコメントである。

撤退から9年
世界市場に再挑戦

 グループウェアに特化したクラウドサービスを展開するサイボウズは、今後の成長戦略をどのように描いているのか。青野氏はそのキーポイントとして、「グローバル展開」と「エコシステムの拡大」の2つを挙げた。

 グローバル展開についてはkintoneを前面に押し出し、2014年から米国と中国の両市場で本格的なマーケティングおよび販売活動を行っているという。中国ではそれ以前からグループウェアのパッケージやSaaSを日系企業向けに展開しており、kintoneを合わせてすでに500社を超える導入実績があるとしている。

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松岡 功
[ITジャーナリスト]

まつおか・いさお ITジャーナリストとして複数のメディアにコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などで記者およびIT系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。

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