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クラウドという武器を得て
世界市場に再挑戦するサイボウズ

【特集・クラウドと、どう向き合うか(10)】

松岡 功 [ITジャーナリスト]
【第101回】 2015年10月2日
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 加えて同社が熱い視線を送っているのが米国市場だ。実は、同社は2001年に米国でグループウェアのパッケージ販売に乗り出したことがある。だが、米国ではグループウェアで扱うスケジュールがプライベートな情報とされ、それを共有する文化がなかった。結局、製品は受け入れられず、2005年に撤退を余儀なくされた。

 その苦い経験から、青野氏は、文化に依存するアプリケーション領域ではなく、文化にかかわらないプラットフォーム領域で勝負しないと、グローバル展開は難しいと痛感したという。kintoneを前面に押し出したグローバル展開の“再挑戦”には、こうした背景がある。

 ただ、今回の再挑戦では確かな手応えがあるようだ。というのも、世界各国に拠点を持つ複数のグローバル企業にkintoneが採用され、それらの企業の中でkintoneのグローバル展開が進みつつあるという。これはまさしくグローバルに適用できるkintoneの柔軟性が実証されつつあることを意味している。

キーワードは
「本当のエコシステム」

 一方、エコシステムの拡大についてもkintoneが重要な役割を担っている。具体的には、kintoneを他のシステムやクラウドサービスと連携させるためのアプリケーション・インターフェース(API)やカスタマイズ機能を拡充することにより、販売パートナーだけでなく、アプリケーション開発会社やシステムインテグレーター、クラウドベンダーなど、多様なパートナーとの連携や協業を進めている。

 青野氏は、こうしたエコシステム作りについて、次のような見解を示した。

 「大手クラウドベンダーが推進するエコシステムは、自らが中心になって主導する形になりがちだが、それは本当のエコシステムではない。クラウドにかかわるそれぞれの企業が、競合しながらも共存共栄を目指すのが本当のエコシステムだ。その意味で、クラウドが支える情報社会は、まさに自然の“生態系”(エコシステム)に近づいていくのではないか」

 単なるクラウドベンダーではなく、グループウェアという強みを持つ同社らしい見解とも言えようか。ただ、クラウド事業は企業体力の勝負という面もある。その意味では“弱肉強食”もまた自然の生態系の一側面だ。同社は輝き続けることができるか。

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松岡 功
[ITジャーナリスト]

まつおか・いさお ITジャーナリストとして複数のメディアにコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などで記者およびIT系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。

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