先週、女性雑誌から「深田さん、女性が下流老人にならないためにはどうしたらいいですか」と取材依頼があったときには驚いた。女性雑誌までもが取り上げるということは「ブーム」になっているということ。ブームはしばらく続くことになるだろう。

 誰でも将来「下流老人」になる可能性はあるが、全員ではない。40~50代がまず心配すべきは、「老後貧乏」になることだろう。そもそも日本の年金制度は、現役時代の収入を100%保証する制度設計にはなっていないため、定年後は収入が大幅にダウンする。老後資金という蓄えがない限り、誰もが貧乏になるのである。

 今の40~50代は、多額の住宅ローンを抱え、ハイパーインフレ気味の子どもの教育費を負担し、自分たちもお金を使うのが好きな消費世代。上の世代に比べ、老後資金準備がままならない人が圧倒的に多い。

 FPである私の役割は、現役世代の「老後貧乏予備軍」を1人でも減らすこと。その詳細な方策についてはぜひ本連載のバックナンバーをご一読いただきたいが、それでは万が一「老後貧乏」に陥ってしまったとして、さらにその先の「下流老人」との分かれ目は、どこにあるのだろうか。

 私は“制度を知る・利用する力が「ない」”と“少し先を想像する力が「ない」”、この2つの「ない」によって、藤田氏が定義する「下流老人」という貧困状態に陥りやすくなると考える。

社会保障や福祉制度は
「知らなきゃソン」であることを認識する

 セーフティネットとしての社会保障制度や福祉制度の多くは、「申請主義」。知らないと利用することができない、まさに「知らなきゃソン」なのである。専門家並みの知識を持つことは無理だとしても、困ったときには「何か頼れる制度はないだろうか」と役所に出向いて相談するという発想を、常に持っておくことが重要だ。

 意外に思うかもしれないが、会社員や公務員はこれが苦手。勤務先の総務部や人事部が自分に代わって「手続き」をしてくれる環境に長く置かれるため、「自分で調べる」「相談に出向く」ことに慣れていないのだ。出世が早く管理職が長かった人は特に要注意と言えるだろう。総務、人事部以外に部下も手足となってくれていたからだ。

「制度を知る・利用する力」は、70代や80代になってから身につけるのでは遅い。現役のうちから練習しておくことが肝心だ。まずは年老いた両親の日常を聞き出し、知らずに利用していない制度がないか調べることから始めるといいだろう(言うまでもなく、ここで妻任せにしてしまっては意味がない)。