4つのステップでこの成功事例を分析する

 本書では、成功事例の紹介に留めていましたが、ここでは、会社が儲かる体質に変わる4つのステップがどう作用しているのかを確認してみましょう。

 忘れてしまった方や初めて読んでいただいた方は、第1回をお読みください。数分もあれば読めます。

1.まずは、値段をあげる

「とにかく値段を1個80円から120円に値上げしてもらいました」

2.次に、客層を変える

「基本的に新規のお客様だけを対象にすればよい商売」

3.そして、情報を加える

「並んでいるお客様に、おまんじゅうができた由来や食べ方などを詳しく説明することを追加」

4.最後に、経営を回す

「こちらの会社は最近新たにかなり広い土地を購入、観光地の商店街の小さな本店とは別にもう一軒お店を作る計画に入っています」

 まとめると、80円から120円に値段を上げて、お客は地元のリピーターではなく、新規が多いことを理解する。おまんじゅうの価値をきちんと情報として伝えて、得られた利益で、将来の経営のために、店舗を増やす計画を立てています。

 これが、会社が儲かるために必要なステップを踏んだ結果です。

「80円のまんじゅうを250円で売ったら、なぜお客が増えたのか?」という問いには、こう答えることができます。

 同じ労力で何も変えずに値段を上げたことで、利益が上がった。利益が出ているのですから嬉しくないはずがありません。活気が出てきたことで、商品説明を丁寧にし、新規のお客に価値をきちんと伝達。それが口コミやメディアをとおして、知れ渡ったのです。

 日本人が持つ生真面目さ、ものづくりへのこだわり、いいものをきちんと届けたいという最低限の心意気があれば、この「値上げ」のしくみで儲かるのです。