発売1週間を待たずして、重版! 10月29日(木)にセミナー開催が決定した『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』。これまで、ダイジェスト版で「値上げで儲かるしくみ」をお伝えしてきました。すでに、本書『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』を読んでいただいている方もいるかと思いますが、念を押すうえでも最後のステップ「経営を回す」がいかに大事かを紹介します。値上げはすべてこのためにやってきたと言っても過言ではありません。

10月29日(木)、東京・目白で1日限りのセミナー開催決定!

「競争のいらない経営」を目指す

 理想的な経営とは、他社との競争がない、もっと言うと、他社との競争を必要としない経営を実現することです。

 他社との競争がないとは、他社とマーケティングを競い合って顧客を取り合うことをしなくてもよい状態を言います。それは言葉を換えると、「独自の経営目標を追求する」ことで、圧倒的に他社を引き離し、競争するという概念そのものが経営からなくなる状態です。

「値上げ」は本来、創業から目指してきたはずなのに、どこかでその意識がなくなってしまっていた本分を思い出させるきっかけとなります。

目標とするのは、経営サイクルを伸ばし、「競争のいらない経営」を確立することです。

売上と利益が向上することで
企業の持つ「コンフォートゾーン」を抜ける

 人間にはそれぞれ、自分とはこういう人間だという「コンフォートゾーン」があるように、企業にもコンフォートゾーンが存在します。

コンフォートゾーンとは、自分が「自分自身をどういう人間と捉えているか」という思考で、この思考によって一定の行動や成果を出す(受け入れる)ようにプログラミングされていると言われています。

 たとえば、「自分は常に一番になる人間だ!」と捉えていると、一番になれない状況が少しでも予感されると俄然努力して成果を出そうとします。逆に、「自分は決して一番にはなれない人間である」と捉えていると、成果が上がって一番になりそうになると急に失敗したりサボったり、時には病気になったりして、一番ではない状況に戻ろうとするそうです。

 これが人間におけるコンフォートゾーンですが、それと同じようなことが企業にも存在しています。

 毎年売上と利益がトントンの会社の場合、そういうものだという思考が企業全体を支配してしまっているので、期のスタートでどんなに好調に仕事がスタートしても、年間を通して結果を見るとやはりトントンに終わってしまうとか、毎年少しだけ黒字や赤字の会社はずっとその状態を継続している感じです。

 おそらく10年経っても同じ状況ですから、これは相当に危険な状況と言えるでしょう。

 昔お世話した会社にも、「うちの会社はこうだ」というコンフォートゾーンがありました。

「創業から一度も納期に遅れたことがない」という思考を持っていて、納期が危なくなると、誰が言うとはなしに急にスイッチが入って、総務・経理が現場を支援し、なんとか製品を完成させ納品を間に合わせることが伝統となっていました。

 コンフォートゾーンが、この会社のようにプラスに作用していれば問題ありません。しかし、毎年赤字すれすれの思考が定着してしまって、どんなに頑張っても利益はトントンしか出ないという思考の会社のコンフォートゾーンを変えるには、相当な刺激が必要です。これを打ち破るのにも、「値上げが一番の効果」と考えています。

 事実、値上げによって得られる売上増と利益の増大は、企業、そしてスタッフ全体の思考を変えてしまう効果があります。

 また、経営者が自社の陥っているマイナスのコンフォートゾーンに気付き、変革を目指すことはとても重要なことです。

 自分たちの提供する商品やサービスが、自分たちが思っているよりも高い値段で売れ、顧客に喜ばれることで、経営者も企業スタッフも本来の自信を取り戻します。

成果を上げれば、プラスのコンフォートゾーンを身につけられますし、それが値上げによってもたらされる最大の変化です。

 そして、この値上げによって得られる売上と利益、思考の転換が、次の行動の原動力になるのです。