脱税常習業種が真っ先に狙われる!
富裕層の資産フライトも困難に

――どんな人たちが、マイナンバー導入でソンをするのでしょうか?

 まずは脱税常習業種です。飲食業や風俗店、さらにパチンコ店や暴力団もそうですね。特にパチンコ店は“脱税文化”のある業界と言いたいくらい、業界全体に深く根付いています。店の口座だけでなく、オーナーやその家族の銀行口座がマイナンバーによって把握されますから、脱税が発見しやすくなります。きっと、調査官が真っ先に狙いに行く業種だと思います(笑)。

 もちろん、儲けを現金で持ち運び、自宅に保管すれば見つかりませんが、これはあまり現実的ではないでしょう。ほかの従業員の目にもつきますし、第一、自宅にあまりにも多額の現金を隠しておくのは物騒ですから。

 また、近年流行っているネット通販業者もターゲットになります。匿名でビジネスをしていたり、仮名口座や他人名義の口座を使うという悪質なケースもあります。また、サイトを見ただけでは、どれくらい顧客がいるのかが非常に分かりにくいため、脱税天国なのです。

 社会保険の加入義務から不正に逃れている企業や事務所も摘発されるでしょう。社会保険は法人、あるいは従業員5人以上の個人事務所には、原則加入の義務があるのですが、これを逃れている法人が相当数あるのです。マイナンバーは個人番号のほかに、13ケタの法人番号も通知されますから、従業員の給与から所得税を源泉徴収しているのに、社会保険に加入していない法人が、簡単に検索できてしまうのです。

――個人はどうでしょう?

 冒頭に申し上げたように、富裕層ではソンする人が多いでしょうね。多くの富裕層は、複数の会社から報酬を得ていたり、投資をしているなど、収入や資産の状況が複雑です。意図的に収入や資産を隠す人もいますが、そうでなくても、税務当局が把握し切れなかったり、故意ではない申告漏れなどが発生しやすいのです。

 一部の金持ちのあいだでは、資産フライト、つまり海外に資産を移して脱税しようという動きが活発化しましたが、マイナンバーで銀行口座を把握できれば、多額のお金を引き出した時点で税務当局からマークされます。また、「国外財産調書制度」や、今年7月からは「出国税」も始まりました。マイナンバーに加えて、これらの制度によって、資産フライトは難しくなりました。