2015年10月より、生活保護の冬季加算(暖房費分)が削減された。約15~25%に及ぶ大幅な引き下げで、北海道の生活保護利用者の冬の暮らしは、どのように変わるのだろうか?
冬季加算の大幅減額
北海道の冬の暮らしは、どうなる?
生活保護費の生活費分(生活扶助)には、冬の暖房などによる支出増大を補う目的で、「冬季加算」が設けられている。冬の寒冷・積雪などの厳しさによって全国をI区(北海道・青森県・秋田県)~VI区(本州の概ね南関東以南の太平洋・瀬戸内海沿い、四国と九州の全域)に区分、この区分に加え、級地(生活コストによる自治体ごとの区分)・世帯人数ごとに加算金額が決定されている。
冬季加算の対象となる期間は、今年度より10月~翌年4月の7ヵ月間になる。1951年に創設されて以後、2014年度までは11月~翌年3月の5ヵ月であったが、今年度より寒冷地の早い冬と遅い春が考慮されることになった。
しかし今年度より、冬季加算の月額が減額される。対象期間が5ヵ月から7ヵ月へと延長されたにもかかわらず、一冬の総額では大幅な減額となる。下の表は、札幌市での一冬の冬季加算の総額を昨シーズンと今シーズンで比較したものだ。
「寒冷地とはいえ、こんなに暖房費がもらえるとは!」という印象を持たれる方もいるかもしれない。正規雇用・非正規雇用を問わず、民間企業で「給料に冬季の暖房費や夏季の冷房費を加算しなくてはならない」というルールはない。雇用する側の裁量で加算することは可能であるし、北海道には寒冷地手当・暖房手当を支給する企業も実際に存在する。しかし、支給しないからといって、あるいは充分な金額でないからといって、ペナルティがあるわけではない。
ただし、各都道府県の最低賃金は、冬季加算を含めて、生活保護基準を下回らないように定められる。「生活保護以下ではなくなった」とされる最低賃金が、実際に「働いたら生活保護以上の生活になる」を実現できているかどうかは別として、冬季加算の引き下げは、すべての人々の給料に関係する。
とはいえ、最初に影響を受けるのは、ほかならぬ生活保護利用者たち本人だ。今月から始まる冬季加算引き下げで、どのような影響を受けるのだろうか?