いったん91円台に反落した米ドル/円でしたが、再び94円まで反発しています。
米連邦公開市場委員会(FOMC)や、5月7日(金)発表予定の4月の米国雇用統計をにらんで、「米国の利上げ前の米ドル高」が再燃しているということでしょう。
まずは、FOMCについてです。直近のFOMC定期会合は、この4月下旬と6月下旬に予定されています。
ここですぐに政策金利を引き上げる可能性は少ないでしょう。ただ、利上げ以外のところで、「サプライズ」が出てくる可能性には要注意ではないでしょうか。
「FOMCサプライズ」で、まず注目したいのは「タカ派の反乱」です。
金融政策においては、利上げ支持を「タカ派」、利下げ支持を「ハト派」と表現しますが、タカ派の動きによる「サプライズ」があるかもしれないのです。
FOMCで「タカ派の反乱」が
あり得る裏事情とは?
FOMCのメンバーは、米連邦準備制度理事会(FRB)の常勤理事(議長、副議長含む)と地区連銀総裁で構成されています。
ただ、FRB常勤理事の定員7名のうち、現在は2名が空席になっています。そして6月下旬には、コーン副議長が退任することになっているので、欠員補充しないままだと、7つのうち3つが空席という事態になってしまいます。
実を言うと、FRBのルールでは、常勤理事が5名以上いないと定期会合以外での金融政策変更の決定ができなくなるのです。つまり、金融政策に空白を生じさせかねない事態になってしまうわけです。
FRB理事の任命権は米国の大統領が持っているので、このような異常事態を回避するために、オバマ大統領が新しい理事の指名を早めに、6月にかけて行う可能性は十分に考えられるでしょう。
そして、今年11月に中間選挙を控えた中で、景気回復を磐石にすることを考えたら、新理事の指名は「ハト派」の人物になる可能性が高いと思います。
そのような見通しが立てられる中で、「タカ派」が先手を打って存在感をアピールする可能性は考えられないでしょうか?
ちなみに、「タカ派」の代表格は、過去2回連続でFOMCの低金利維持という決定に対して唯一反対票を投じてきたホーニグ・カンザスシティ連銀総裁です。
そして、もう1人の反対票が投じられる可能性が、一部の専門家の間で秘かに注目されているのです。
もし、FOMCの決定に対する造反が2名出ることになったら、それは1998年5月以来、12年ぶりの「異常事態」となります。ちょっとした「サプライズ」にはなるでしょう。