「キャベツ1玉128円」。近所のスーパーマーケットが日曜朝にキャベツの安売りを行うと広告を出していた。
朝9時の開店前に家内と行ってみたら、店の遥か手前から驚異的な長蛇の列ができていた。300人以上いただろうか。天候不順が原因で、最近は400円前後に高騰しているだけに、すごい集客効果だ。
大混雑の店内に入ったら、すでにキャベツの棚は空だった。店員が倉庫からキャベツが入った段ボール箱を運んできた。所定の棚にたどり着く前に、男性客が箱を開けてキャベツを取った。
気持ちはわからないでもない。1個も買えなかったら奥さんに叱責されると焦っていたのだろう。しかし、それをきっかけに、他の客も箱に群がった。「ダメじゃない、そんなことしちゃ!」と怒る女性客、「たくさんありますから、落ち着いてくださーい!」と叫ぶ店員の声が交じり、店内は一時カオスと化した。
とはいえ、様子を見ていると、キャベツを1人2個以上買う人は少なかった。ある女性客は2個目からは250円になるとレジで指摘され、「それなら1個でいいわ」と返品していた。あれだけの困難を乗り越えて2個確保したにもかかわらずである。
現在の消費者は徹底的に価格コンシャスだ。仮に日銀がインフレ目標を掲げても、実質所得が増加していく予想を人びとが持てなければ、生活防衛的な消費行動は変わらないだろう。