一万時間の「コミット」を惜しまないこと
ここで思い出すのは、マルコム・グラッドウェルのベストセラーの著書『天才! 成功する人々の法則』(講談社)で広く知られるようになった、一万時間の法則だ。専門の知識や技術を習得し、結果として成功するには、練習することが──練習を重ねることが肝要だ、という考え方である。
一万時間は出発点として有用だ、とグラッドウェルは述べている。
そして、ビートルズのエピソードを例に挙げ、一九六〇年代初めにハンブルクの小汚いナイトクラブで一万時間ライブをし、ロックンロールの演奏に磨きをかけたと書いた。ビル・ゲイツについてのエピソードでは、まだ高校生だった頃、毎晩のようにワシントン大学のコンピュータセンターで過ごしていたと書いている。
グラッドウェルによって広く知られるようになった一万時間の法則だが、最初に考え出したのはフロリダ州立大学のアンダース・エリクソン教授だった。エリクソンによれば、あることに卓越するには、時間と努力が不可欠だという。長い長い時間と、そして並々ならぬ努力が。