『フォーブス』誌発行人を務め、連続起業家でもあるリッチ・カールガードは「成功し続ける企業」の5つの条件を、ウォール街からシリコンバレーまで全米企業への徹底取材から明らかにした。本連載は『グレートカンパニー――優れた経営者が数字よりも大切にしている5つの条件』からそのエッセンスを紹介する。第12回のテーマは「地頭よりもビジネスで大切なこと」だ。
知性を向上させる方法
もっと「知性豊か」になることについて、神経科学者と話をすると、脳スキャンMRI、灰白質と白質の形成、神経発生、神経可塑性などが話題になる。
たとえば、研究によれば、私たちは成人期を通して「神経可塑性」(認知構造を変える力)と「神経発生」(ニューロンを新生する力)を明白に示すという。この神経の変化はどちらも、新しいスキルを学ぶことによって起きる。ジャグリングに挑戦してもいい。あるいは、ゴルフをしてもバンジョーをかき鳴らしてもいい。
運動も認知力を向上させる。
屋外で、すなわち科学者が「刺激の豊かな環境」と呼ぶところで行おう。たとえば曲がりくねった道を実際に自転車で走ると、ジムのような刺激の乏しい閉じた環境で運動するより、何倍も高い成果を得ることができる。
また、社交的な側面を加えると、皮質の再配置や神経発生のスピードを上げることにつながる。昼休みに仲間と散歩したり自転車に乗ったりするのは、単にカロリーを消費するだけではない。私たちをもっと「知性豊か」にしてくれるかもしれないのだ。
こうしたことが神経の健康にとって重要であるのはまず間違いない。しかしビジネスに大きな関係があるのだろうか。
「知性」について、ビジネスリーダーやその道を頂点まで上りつめた人と話をすると、まったく違う議論をすることになる場合が多い。ビジネスリーダーは、ジャグリングができるようになろうが、次にセントラルパークをジョギングするときに今までと違う刺激の多いコースをとることにしようが、まるで気にしない。彼らにとって、もっと「知性豊か」になることは、そういうものではない。
重要なのは努力である。労を惜しまないことである。メンター(良き師)を探し出す、ミスや失敗を学習の機会だと考える、外部からの意見を受け容れるといった行動を、積極的に行うことなのである。