日本経済がかつてのように復活し、再び「ジャパン・アズ・ナンバーワン」になれればいいのですが、残念ながら、もはやそうはならないでしょう。だから、国の経済成長を神頼みしているような経営は、やるべきではない。極論すれば、今後日本企業は、万一日本という国が没落しても勝ち残れる企業を目指さなくてはいけないのです。

 たとえばスイスのネスレという企業は、スイスの経済成長や市場環境に全く依存せずに、世界一の食品会社となっている。日本企業もそうならなくてはいけません。以前のように、同じ業界の企業がみな同じことをやって、利益を分け合って生きていける時代ではない。業界1位の企業は今までと同じやり方でもいいかもしれませんが、2位以下は早晩立ち行かなくなるでしょう。自社が活躍・成長できるビジネスの場を自ら考え、「勝ちパターン」をつくっていくことが大事なのです。グローバル市場に目を向けるばかりでなく、国内にだってまだチャンスはあるはずです。

規模が小さい企業が大きな企業に
立ち向かう「弱者の戦い方」とは?

 では、企業の「勝ちパターン」とは何でしょうか。私が興味を持って分析しているのは、規模が小さい企業が大きな企業に立ち向かう際の「弱者の戦い方」です。相撲でも、大柄で力が強い力士と小兵の力士とでは戦い方が違います。小兵が正面から横綱相撲を挑んでも、大柄な力士には確実に負けてしまう。だから、経営資源や業界のポジションに応じた戦い方をしなくてはいけません。

 では「勝ちパターン」と言える競争戦略を持つ日本企業には、どんなところがあるのでしょうか。いくつか具体例を挙げてみましょう。

 たとえば、ハンバーガーチェーンのモスバーガー(モスフードサービス)。同社は、業界最大手のマクドナルド(日本マクドナルド)と一線を画した競争戦略をとっています。マクドナルドの戦略は、お客が多い一等地に出店し、店舗では予めハンバーガーをつくり置きしておき、それをお客に売るついでに飲み物やポテトも勧めて販売額を上げるという、大量供給モデルです。

 店舗数もスタッフ数も少ないモスバーガーは、これと同じモデルでは太刀打ちできません。そこで彼らは、人通りが少ない二等地を狙って出店し、「お客から注文を受けてからつくる」という販売法を考えました。こうすればマックと商圏がかぶらないことに加え、スタッフが少なくても店が回るからです。