さらに、店舗戦略にも長けている。しまむらは店員にも主婦のパート・アルバイトを活用しています。そもそも郊外には女子大生がいないから、若い女性のバイトを雇えないという事情もあります。主婦の働き易い時間帯に合わせて、店舗の開店時間は原則朝10時~夜7時に設定。開店15分前に来れば仕事の準備が済み、閉店15分前には帰り支度を始めて速やかに帰宅できるよう、主婦が時間帯を読み易い業務オペレーションを導入しています。

 激戦区を避け、一番おいしい顧客セグメントも捨てている。その代わり、主婦や女子中高生を相手に商品を売り、店員としても主婦を活用している。こうしたビジネスモデルだからこそユニクロとぶつからずに、独自の商圏を確立できたわけです。

 コーヒーショップ業界ではタリーズコーヒーが喫煙スペースを設けています。これは明らかに禁煙をウリにしているスターバックス(スターバックスコーヒージャパン)を意識したものでしょう。もともと喫煙OKを謳ってお客を集めていたドトールコーヒーを、禁煙をウリにしたスタバが追い上げ、勢力を拡大したという業界の動向から、今後も同社が喫煙モデルでやっていけるかと言えば微妙かもしれません。とはいえ、スタバと同じ戦い方をすれば負けるのは目に見えているし、スタバは今さら喫煙スペースを設けることなどできないであろうことから、足もとでは有効な差別化戦略になっていると思います。

 郊外立地で長居OK、スペシャルコーヒーではなく食事で勝負、というコメダ珈琲店(コメダ)の戦略も、都心立地で家賃が高いスタバを意識した、彼らがマネをできないものとなっています。

全国で唯一大手にトップを譲らない
セイコーマートの「地元密着戦略」

 コンビニ業界で注目したいのは、北海道のセイコーマート。全国のコンビニ勢力図を見ると、全ての都道府県でセブン-イレブン(セブン-イレブン・ジャパン)、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクスなどの大手がシェアトップとなっていますが、北海道のみ地場のコンビニがトップとなっている。それがセイコーマートなのです。なぜかというと、業界最大手のセブンができない戦い方をしているからです。

 セブンのビジネスモデルは、商品の製造を外部の業者に委託し、店舗に持って来させ、自身は「持たざる経営」を行なうというもの。それとは逆に、セイコーマートは「持つ経営」を実践しています。自社農場でつくった農産物や自社工場でつくった食品を、自社の物流網で各店舗に搬送しています。そのため、普通のコンビニでは手に入らない商品を売ることができる、土地が広くて人が分散している不利な地理的条件のなかでも、小回りの利く物流網で商品を届けられる、という強みを持っています。