Dさんは報告書や金融知識の重要性を伝え、苦手分野の克服をサポートしますが、Sさんが前向きに取り組む姿勢が見えないため、

「Sさんの仕事の仕方は当社のスタイルと合わない」

 と、同僚たちからも冷たい視線を受けるようになります。それでも営業成績があげられていればいいのですが、半年を経過しても同世代に比べて半分以下のパフォーマンスしか出せていません。こうなるとポテンシャルはあるのか、周囲も疑問を感じてくるようになります。

 その後、苦手分野の克服もなく、営業成績も向上しないのでSさんは退職することになりました。同じようにポテンシャル採用された人材は、1年後に7割近くが退職していました。果たして、採用基準を変えてまで、ポテンシャル採用を行う意味はあったのでしょうか?

 ポテンシャル採用を成功させ、会社で活躍してもらうことは簡単ではありません。採用基準から「同業界の経験」は消えますが、それに代わる厳しい基準、例えば問題解決力や職場適合力などがあるのか。さらに「異業種への転向=キャリアチェンジの大変さ」を伝えて、それでも転職する覚悟があるのか、まずは確かめるべきでしょう。

 ポテンシャル採用に踏み切っても、採用数が劇的に増えることはありません。多少、機会を増やすことができるくらいの発想で、丁寧な選考をする必要があるのではないでしょうか?