半年や1年で転職し、転職回数が数回を超える人を、人事の世界ではジョブホッパーと呼ぶ。中途採用の現場ではジョブホッパーは忌み嫌われるが、本当に彼らを採用すべきではないのか?私は、全く逆の考えを持ち、ジョブホッパーを採用してきた。
なぜ嫌われるのか?
採用現場で敬遠されるジョブホッパー
「ジョブホッパー」――明確な定義はないが、半年や1年など短期間で転職し、転職回数が5、6回を超えるビジネスパーソンを、人事部は「ジョブホッパー」と呼ぶ。ジョブホッパーは、中途採用市場で敬遠される。そもそも「面接する時間も無駄だ」と、中途採用の募集要件に転職回数3回以内などという要件をつけて、ジョブホッパーを採用検討対象から排除する企業が多い。
ジョブホッパーに対する懸念としては、次の3点を挙げる採用担当者が多い。(1)過去の経歴から見て、今回も長期勤続が見込めない、(2)ロイヤリティが足りないからマネージしづらい、(3)キャリア形成ができていない――。
果たしてこれは本当だろうか?ジョブホッパーは問答無用で、採用検討対象から排除すべきなのだろうか?私は、これらの懸念事項のいずれも間違っており、採用検討対象から決して排除してはならないと考える。その理由を紹介していきたい。
確かに、在籍期間が短く、転職回数が多いからジョブホッパーと呼ばれるわけで、そう呼ばれない人に比べて、すぐ辞めてきたと言える。
しかし、だからといって、採用検討対象から、ハナから外すべきだろうか。極端な例であるが、勤続期間は長いがパフォーマンスが上がっていない人と、勤続期間は短いがパフォーマンスを上げた人とで、どちらが会社に貢献していると考えるべきだろうか。明らかに後者ではなかろうか。
にもかかわらず、過去の職歴の勤続期間の長さで、採用検討対象かどうかを決めるということは、相変わらずパフォーマンスではなく、勤続期間の長さで評価するという考え方から、抜け出ることができていないのではないかとの危惧を禁じ得ない。
私は今後、さらに雇用形態は多様化し、数年の間にフリーランスが急増するとみている。最も市場の動きに敏感であるべき人事部採用担当者が、中途採用の現場で相変わらず勤続期間の長さで評価するというような時代遅れの発想に留まっているとすれば、問題は深刻である。