関東の病院事情は最悪
「病院で死にたくても死ねない」

 自宅での死亡がもっとも多い、言い換えれば「畳の上で死ねる」割合が高い都道府県は、住宅事情がもっとも悪いはずの東京都で16.8%だ。千葉(15.5%)、神奈川(15.%)も全国的に見て高い方だ。一方で少ないのは九州各県で、8.1~9.4%だ。

 東京で特に自宅での看取りが盛んであるという事実は確認できず、自宅内での不慮の事故が飛び抜けて多い数字もない。住宅事情と自宅での死亡数の数字は、「住宅事情が良い地域ほど自宅での死亡が少ない」という意外な傾向が見いだせるが、ここに因果関係の存在は考えにくい。

 首都圏の自宅での死亡の多さと九州での少なさ、これを示唆しているデータは、人口あたりの病床数に求められる。九州では病床数が多く(人口10万人当たり1700〜1950床)、関東の3都県は最低レベル(同900床前後)。関東では病院で死にたくても死ねない、これが実情のようである。

 20年前、世界中をパニックに陥れたHIV、ヒト免疫不全ウイルス病は45人。この数字は、この20年間、ほぼ変わりなく推移している。SARSはゼロだ。

 さて、交通事故はどうか。統計では「不慮の事故」のカテゴリーに入れられている交通事故による死者は、ピークだった1970年の2万496人から数を減らし、2014年は5717人と4分の1近くにまで減少している。20年前、1995年の1万5147人と比較しても3分の1近い。これは激減と評価していいだろう。

 ただし、そのうち、飲酒が絡んでいる事故での死者は227人いる。2004年の712人よりは相当に減ってはいるが、それでも年間に200人以上である。通常、これだけの数の死者を出す原因となっている物質であれば、間違いなく毒物扱いされているはず。酒には、負の特別扱いされている側面があることは知っておくべきだ。

「不慮の事故」には他に「転倒・転落」(7946人)、「不慮の溺死及び溺水」(7508人)、「不慮の窒息」(9806人。うち食物を気管に詰まらせたもの4874人、高齢者が圧倒的に多く、恐らくは餅が多いと推測される)がある。