人民元が採用される見込みの
SDRとはそもそも何か
国際通貨基金(IMF)は、中国の人民元をIMFの特別引き出し権(SDR=Special Drawing Rights)に採用する見込みと報道されている。
実際に、11月のIMFの会議で採用が決まると、人民元は名実ともに国際通貨としての地位を確立できる。中国にとって、人民元が有力な国際通貨としてのお墨付きを受ける意味は小さくはない。
元々、IMFは、国際金融や為替の安定性を維持するために、外貨事情が悪化した国に対して、必要な資金を貸し付けて救済することを目的に創設された国際機関だ。
それぞれの加盟国はあらかじめIMFに資金を拠出し、その出資比率に応じて必要なときに資金を借りる権利を持つ。SDRは借り入れを受ける権利のことであり、また、借り入れを受けるときの資金の単位でもある。
現在、SDRの価値を算出するときに採用されている通貨は、ドル・ユーロ・ポンド・円の4通貨であり、これらの通貨を加重平均する=バスケット方式によってSDRの価値を算定する仕組みになっている。
バスケット方式で算定する意味は、4つの主要通貨を加重平均することでSDRの価値をより安定させるためだ。そのバスケットの中に、世界第2位の経済大国である中国の人民元を入れることで、さらに安定性を強化することが期待できる。
一方、日米両国は今まで、人民元が中国政府の厳しい管理下にあり、自由な売買が担保できないとして慎重なスタンスを取ってきた。
しかし、中国経済の台頭と、英国やドイツなどの欧州諸国が親中国政策を取り始めていることもあり、人民元のSDR採用を容認せざるを得なくなった背景がある。