人民元のSDR参加 日本も賛成に方針転換
10月に入って、麻生太郎財務相は、中国が国際通貨基金(IMF)の準備通貨SDR(Special Drawing Rights)の構成通貨に人民元を採用するように求めていることについて「決して悪いことではない」と賛成の見方を示しました。これは大きな方向転換です。
IMFは11月に理事会を開いて、人民元のSDR採用の是非を判断します。IMFのラガルド専務理事は「近く技術的な評価作業を終える」と述べています。SDRに採用されるためには国際通貨としての「貿易の量」と「通貨取引の自由度」という量と質の2つの大きな基準を満たす必要があります。すでに、輸出量や資金決済に占める通貨別シェア量として、自民元は条件を満たしているとIMFは判断しています。
一方、「通貨取引の自由度」については固定的な相場管理や人民元と外貨の両替の制限などが残っています。8月の人民元切下げが相場を市場実勢に合わせる改革の一環ともいわれています。しかし、その後、中国政府は大量に市場に介入を行っていましたが。
中国は人民元のSDR入りを今年の国際金融上の重要施策としていました。また、中国は2016年のG20議長国であり、国際金融面での発言力を増したいとの予想もあります。
このような動きについて、本連載でも、人民元のSDR構成通貨への採用に関しては、日本は米国とカナダと一緒に反対票を投じる動きをしていたことは解説しました。
欧州、特に英国が、米国を裏切るような形で、AIIB(アジアインフラ投資銀行)に真っ先に参加したのは記憶に新しいものがあります。欧州はこのAIIBに参加することとのバーターで、IMFでの人民元SDR採用には賛成するような動きです。
アジアのインフラのニーズは高いものがあります。特にインドネシアはそのニーズが大きく、先日の新幹線の入札も中国が落札しましたが、その支援は今後、AIIBに移っていく可能性もあります。欧州勢もそのインフラ開発に参加したいということです。もちろん、中国本体との経済的深化も狙っているのでしょう。
中国が仕掛ける人民元国際化政策と日本はずし
特に民間サイドの人民元国際化政策には以下の3つがあります。資金や証券の分野で、「認可・設置」という国家主導の政策が進められています。