福島屋が楽しいのは、
大手にない「おいしさ」のセレクト力

鳥山畜産の鳥山社長の発表。今回のテーマは畜産だった。昨今の仔牛仕入れ価格は高騰している

 多くのスーパーがセレクトする力を失っているのかもしれない。卸問屋のマーケティングデータに従って多くの種類の商品を並べる商売では、おいしさという属人的な基準は必要ない。

 すでに語り尽くされた観もあるが、福島屋の特徴は(清掃が行き届いている、などの基本的な部分は別にして)商品のセレクトにある。小売においてセレクトというのは当たり前のことだが、ここまで個人のセレクトと演出が行き届いた店はそうない。なぜ、福島屋は廻っているだけで、楽しいのか。それはそこにひとりの人間と付き合っているような感覚があるからだろう。この人はちょっと変だけど、家は掃除がきれいに行き届いているし、真面目で信用できそうだ、という具合に。

『福島塾』では飲食店の方のお話や、松木洋一(日本獣医生命科学大学名誉教授)先生のアニマルウェルフェア(動物福祉)についての講義もあり、畜産の現場の話もあり、マーチャンダイジングの話もあり、二日目には森ビルの方による街づくりについての発表もあった。二日間にわたって開かれるので、とても本稿では紹介しきれないが、当然、名前の通り福島さんのお話もある。

 「最近、脱いだ靴をきちっと揃えなきゃなと思いました。ただ揃えるのと手できちっとするのはやっぱり違うんですね。足でやるのなんて論外で。棚作りも同じことで……」

アットテーブルの上田社長による報告。マーチャンダイジングの最前線は非常に参考になったが、残念ながら部外秘なのでここにはあまり書けない

 会社の経営にも店作りにも結局最後に現れるのは人格である。普段、だらしない人が商品の棚出し作業をするパートさんに「きちっとやってくださいね」と言っても伝わらない。

 結局、お客さんに支持されるような店をつくるためには、棚でも商品選びでも心を込めなくてはいけないということだろう。それは文章を書くことでも同じことだ。

 参加者は皆さん真剣だが、雰囲気は明るい。

「前回の福島塾でお会いした◯◯さんの会社の技術を使った商品作りのチャンスを福島会長からいただいてトライしておりますが、今のところ商品化にまでは至っていない」

 ある人からはこんな話があった。人と人との繋がりが新しいものを生み出そうとしている光景は日本の食の明るい未来を感じさせるものだった。