渡邉氏の病院では、がんを早期発見できるPETが6台ある。70人の放射線技師とともに連日フル稼働している。渡邉氏は、即日PET検診を日本で初めて導入した。

 他の病院のなかには、PETを予約すると数ヵ月先まで予約がいっぱいと言われるところもあるという。自分の健康に不安を持つ患者さんが、勇気をもって検診に来たのに「今日は予約をして、数ヵ月後に出直してほしい」というのはおかしい。もし、がんであったとしたら進行してしまう。がんを少しでも早くみつけてあげたい。渡邉氏は即日PETができるシステムに改善した。がんは早期発見できれば治る。渡邉氏は病気に対して前向きな姿勢を崩さない。

高齢化社会の進行により
近い将来、手術のできない患者が急増

 現在75歳以上の高齢者は1160万人。2025年には2167万人に達すると予想されている。渡邉医師は以前から、高齢化社会が進むと、がんの病期に関わらず、手術ができない患者が急増し、放射線や陽子線治療の果たす役割が増えていくと考えていた。

 ただ、従来の放射線治療だと、ピンポイントでの照射が難しい場所もある。例えば直腸がんであれば、放射線によって近くの肛門の細胞が壊されて人工肛門になったり、前立腺がんも放射線治療でがんは完治できても、男性機能が失われてしまう場合があった。

 それに対して、陽子線治療は正常細胞への影響が極端に少ないことが魅力だ。しかも、患者さんはベッドに数分寝ているだけ。最近は生命保険の高度先進医療特約に加入していれば、治療費が支給されるようになった。患者さんの経済的な負担も劇的に軽減されてより身近な治療になったことが嬉しかった、と渡邉氏は語る。

脳ドックを世界ではじめて実施
早期発見で治療費は約10分の1に

 渡邉氏は脳外科医だ。多い年は、年間500件の手術をこなしてきた。脳出血、脳梗塞、脳腫瘍など、難しい手術を12時間立ちっぱなしで行うのは当たり前。しかし、長時間に及ぶ手術をしても助けられない患者や後遺症が残る患者もいた。